H-OY-03 基本設計とPHPP

投稿者:

基本設計

まずは、調査報告書のご報告を致しましたが、築50年近い住宅ですので、耐震性や温熱性は現行法律や基準を満たしていません。

耐震性で言えば、耐震診断の構造評点で「0.15/倒壊する可能性が高い」という結果でしたが、改修案では「1.5以上/倒壊しない」というレベルまで耐震性能を向上させる予定です。

さて、ここからは調査報告書を踏まえて基本設計を進めていきますが、まずは以前にご提案しましたダイヤグラムを元にファーストプランをご提案しました。

結論を先に書きますが、基本的なプランはOKとなりました。
ご提案のプランは既存住宅の間取りをベースとした案ですが、既存住宅は水廻りが北側にあり、リビング・ダイニングといった空間はなく、和室が南側に並んでいるようなオーソドックスなプランでした。

従って、玄関と水廻りの位置は自ずと決まりますので、あとは和室だった空間にリビング・ダイニング(以下、LD)と各個室をどのように配置するかを検討することになります。

本来は、LDを南面させたところですが、それですとキッチンとのつながりが上手く行かないので、各個室を西側に並べて南北に配したLDとつながるような案としまして、それが採用となりました。

 

PHPPでシミュレーション

とりあえず大まかなプランが確定しましたので、外観デザインの検討を並行しながらPHPPによるエネルギーシミュレーションを行うことにしました。

PHPPとは、パッシブハウス認定住宅でも使用されるエネルギーシミュレーションソフトです。
詳しくはLibrary内のColumnをご覧頂ければと思いますが、外皮平均熱貫流率(UA値)という断熱性能のみの評価ではなくPHPPは「暖冷房需要」で評価します。

さて、結果は以下となりました。

参考までに、シミュレーション時の断熱仕様と窓仕様を下記致します。
・屋根:付加/ネオマフォームt90、充填/セルローズファイバーt270
・壁:付加/ネオマフォームt90、充填/セルローズファイバーt95
・床断熱:ネオマフォームt45+90
・窓:Smartwin/佐藤の窓、APW430防火 ※遮蔽措置:南側窓のみ

今回の計画で温熱的な最大の利点は、準防火地域内でありながら敷地がとても広いために、殆どの窓が延焼線に掛からず非防火窓のSmartwinが使えることです。
窓面積率でいうと、実に75%ぐらいがSmartwinですので、その恩恵は大変大きいです。

また、日射に関しては、(他の案件でもそうですが)DesignPHというSketchUpというモデリングソフトにプラグイン出来るソフトを使用して解析します。

先にも書きましたが、敷地が広いために近隣建物の影響が殆どないため、主に屋根の出や庇の有無を検討することになります。

結果としては、暖房需要より冷房需要の方が厳しかったために、クライアントのご希望でもあった深い軒にすることのエネルギー的合理性も確認出来ました。

このように、シミュレーションと検討を繰り返しながら、基本設計をまとめていきます。

関連記事