H-MT-02 基本設計とパッシブハウス認定

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基本設計

結論を先に書くと、基本設計がまとまるまでに約1年を要しました。
オンラインによる意見交換のみの打合せを含めて、打合せ回数は実に16回。

ちなみに、通常、基本設計に掛かる期間は3か月程度です。
過去には、半年ほど基本設計に掛かった方もいらっしゃいましたが、それを優に超えました。

時間が掛かった理由を私なりに振り返ると、、
・クライアントの中で希望の優先順位が定まっていなかった
ことが大きな理由かなと思っています。

例えば、当初は、、
・洗面室は、外部と繋がる大きな窓が欲しい
というご要望があったのですが、結果として、防犯性に配慮して横長の髙窓になりました。

後は、住宅建築コストの考え方(要は予算)がご主人様と奥様とでは少し違っていたようで、その考えをまとめることにも時間を要したと思います。
要は、予算を優先すると建物を小さくする必要があったのですが、結果としては、ご希望の大きさを優先してプランをまとめていくことになりました。

これは、設計事務所の場合は、「実施設計図面を元に工務店が工事見積書を作成するまでは、正確な金額が分からない」ことも影響はしております。

しかしながら、弊社としては、クライアントの希望する住宅の建築コストがどのぐらいなのか?は知っておいた方が後々の納得感につながると思っています。

そういったことでは、現段階では希望を優先して検討を進めることで良いと思って設計を進めています。

このように、基本設計段階でクライアントが判断しないといけないこともありますが、(建築のプロではない)クライアントが希望を整理することが難しいシチュエーションも考えられます。

そんな基本的な考えの中で、多くのクライアントはある程度から先はプロである設計者にお任せすることを選択される(言い方を変えると、提案に従う)と思いますが、今回のクライアントは「ご自身で理解して考えたい・納得したい」という思いが強かったように思います。

今にして思えば、以前に半年ほど基本設計に掛かったクライアントも「ご自身で理解して考えたい・納得したい」という思いが強かったように思いますので、そういったお考えの持ち主の方は先に進むのに時間が掛かるのかもしれません。

どちらの考え方・進め方が正解ということはありませんが、私自身、色々と考えさせられる経験をさせて頂きました。

 

温熱性能をPHPPで検証する

今回は、幾度となくプラン変更した為に最終的な案とは違いますが、一度、中盤でOK頂いた案でエネルギーシミュレーションを実施しましたが、その時の結果は以下の通り。

 

冷房基準がクリアしておりませんが、その他は弊社の標準的な仕様でクリアしていました。

結果を検証すると、暖房需要が「9kWh/㎡・a」となっていますので、
・断熱性能が必要以上に高い
・日射取得が非常に良い
のどちらかが考えられますが、全ての南面窓に外付けブラインドを設置しているにも係わらず、冷房需要が「25kWh/㎡・a」で基準に達していない状況を鑑みると、
・日射取得窓(特に南面窓)が大きすぎて、夏に不利な状況になっている
と推察が出来ます。

よって、南面窓を小さくするなど日射取得量を減らせば(逆に暖房需要は増加するが、余裕があるので問題はない)パッシブハウス認定に届きそうだなと思い、パッシブハウス認定が狙える位置にいるご説明をしたところ、パッシブハウス認定を目指したいとのご希望を頂きました。

物件の計画地は千葉県内になりますが、現在(R6.1月)は佐倉市にパッシブハウスがありますので、このままパッシブハウス認定まで進みますと、千葉県で2棟目のパッシブハウスになりますね。

 

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