プランニング
今回は、ご夫婦と猫たちの為に住宅を設計します。
まずは、家での過ごし方を含めたご希望として、、
・日常はリビングで過ごす
・奥様は早朝にヨガをやる
・仕事部屋(ピアノ室)が必要
・2階の明るいLDKが欲しいけど、将来的な不安が・・
・WICなど収納を水廻り(浴室・洗面室)につなげたい
・猫二匹が快適に過ごせるスペース
などを頂きました。
2階リビングについて、上がれなくなるかもしれない、という将来不安の話はよく出ることの1つです。
確かに、不安としては分かる話ではありますが、そもそも2階に上がれなくなってしまうほど足腰が悪いことを想定する場合は、計画上は1階で全ての生活が成り立たないといけない事になります。
それは、少なくても1階に「キッチン」「水廻り(浴室や洗面室)」「寝室」があるプランということになりますが、プランを検討する上での制約を上げることにも繋がります。
今回は、敷地条件や生活者の人数、欲しい部屋の種類などを考えると、1フロアーに先の室を設けると非常に空間バランスの悪いプランにしかならないと想像が出来ました。
それらを踏まえて「2階リビングのデメリットは考えずにプラン構成した方が良いのは?」とのアドバイスをさせて頂きまして、基本路線として、2階リビング案で進めることになりました。
ちなみに、2階リビング案の主なメリットは以下です。
・1階より日当たりや見晴らしが良い
・道路や隣地などの外からの目線を気にせずに生活が出来る
・構造設計上、2階の方が大きな空間が作りやすい
その他、今回あったご要望として、、
・(奥様が)あまりモノを運びながら歩くのが得意ではなく、キッチンとダイニングは直線上に配置したい
→キッチンとダイニングを分けるプランは好ましくない、とのこと
ということがありました。
初めて言われたご要望ですが、どこにクライアントのご要望が隠れているのか分からない、と思えた瞬間でした。
エネルギーシミュレーション
プランの大枠が決まった段階で、通常通りにPHPPとDesignPHにてエネルギーシミュレーションを行いました。
断熱の仕様などは、シミュレーション結果を踏まえながら微調整しますが、今回は暖房需要に余裕があることに対して冷房需要がオーバーしていたので、打合せ中の窓デザインを少し変更した結果をクライアントにご説明することにしました。
その結果は以下の通りです。
(変更した案でも)冷房需要と一次エネルギー消費量は届いていませんでしたが、防火等地域ではない為に高性能木製窓が採用出来ることもありまして暖房需要はクリアしており、弊社の標準的な断熱仕様で大よそパッシブハウス認定が狙える性能になりました。
クライアントに本結果をご説明しながら家電等のご希望をお聞きすると、コンロが「IH」で良いことが分かりました。
そこで、通常のレンジフードから屋内循環式レンジフードに変更してみると、以下の結果になりました。
屋内循環式レンジフードとは、外部と空気の入替をしないタイプのレンジフードですが、その効果として、一気に冷房需要と一次エネルギー消費量がクリアしてしまいました。
これだけを見ても、住宅の熱損失として「換気負荷(換気による熱損失)」が大きいことが良く分かりますね。
パッシブハウス認定を目指すのか
クライアントへの説明の中で、性能としてはパッシブハウス認定が狙えることをお伝えしましたが、コストを掛けてまで認定を取ることにさほど興味がないとのことでした。
現状では、ステータス以外に大きなメリットがない為に取得しないとの判断になっても仕方ありませんが、将来的には不動産価値が上がる可能性もあるとは思います。
弊社としては、工事予算内でパッシブハウス認定が狙える性能であるならば、パッシブハウスの普及の為にも認定を取得して欲しいとは思いますが、最終的に「パッシブハウス認定を目指すのか?」はクライアントの判断にはなります。
いずれにしても、パッシブハウス認定を目指すのか?の判断は、工事請負契約までに考えて頂くことになりました。
※要は、工事金額が分かってからトータルコストで判断する