H-OY-07 気密工事と気密測定

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気密工事

気密の方法はいくつかありますが、大きく分けると「耐力面材の外側」若しくは「内部の防湿気密シート面」で処理する方法です。
どちらを選択すべきかは他の部分の仕様にもよるので一概には言えませんが、例えば、壁付加断熱を実施するのであれば、耐力面材の外側が選択されることが多いかと思います。

今回は、壁はEPSの外断熱を施工しますので、先の通りに壁(と屋根)は耐力面材等の外側で気密処理をします。
処理の方法は、通常はウルト製の気密テープを貼って処理しますが、今回はEPS用の塗り防水を施工しますので、その防水で気密を取る方法を選択しました。

床に関しては、床断熱工法を採用しましたので、基本的には床面に施工する構造用合板面で気密を取ります。
尚、床断熱に関しては、外壁面や柱廻りの取り合いが非常にややこしくなりますので、気密ラインが切れないように注意を払って作業を進めていくことになります。

 

中間時気密測定

今回は、耐力面材の外側で気密処理を行いました。
よって、それらが完了して断熱材が施工される前に中間時(工事中)気密測定を実施します。

中間時に気密測定を実施する最大の理由は、気密処理の甘い部分を事前に発見するためです。
工事が進んでしまいますと、どうしても対処療法的な措置しか出来なくなり、思ったほど性能が改善しないことがありますので、なるべく補修がやり易い工程で気密測定を実施します。

さて、準備も整いまして気密測定を開始しましたが、何故か圧が掛かりません。
「あれ、どこか窓開いている?」なんて言葉が出るぐらいの感じで、どこかに大きな穴が開いていることが想像される事態です。

こういう場合は、減圧を掛けながら立会していたメンバーでその原因を探すことになります。
色々な部分に手を当てながら、空気が入ってきていないか探しますが、穴が開いているとすれば「壁と屋根の取り合い」若しくは「壁と床の取り合い」です。

結果として、以下2つが大きな理由でした。
1つ目は、壁と屋根の取り合いで、しかも母屋側との接点となる部分で、大きな穴を発見しました。
現場の大工さんとしてはきちんと施工したつもりだったようですが、下屋が複雑に絡んでいる部分でもあったので、見にくい箇所で施工が甘くなったようです。

2つ目は、床と壁(外壁と内壁共に)の取り合いです。
ここは、施工中から注意していた部分ではありましたが、それでも処理が甘かったようです。
よって、少し大がかりになりましたが、施工方法を変更して処理することにしました。

このように既存改修の場合は、通常の方法で処理が出来ないこともあり、現場で納まりを検討することもあります。
上記の部分は、まさにそういった部分ではありましたが、気密測定を実施する重要性を再認識する良い出来事になりました。

ちなみに、最終的には「C値0.2」「漏気回数0.6h/回」の結果となりましたので、無事に改修版パッシブハウス(エナフィット)の基準を満たす値となりましたので、皆で安堵しました。

 

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