column056 住宅建築のコスト-コスト編-

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住宅建築のコスト-広さ・仕様編-」の続きになります。
住宅の基本性能などについては、仕様編をご確認頂ければと思います。

 

弊社の住宅建築コスト

弊社にご相談頂いた方からも「弊社に依頼すると建築費がどのぐらいになるのか」をご質問頂きます。
それは「お客様それぞれでご要望が違うために一概には言えない」というご回答になってしまいますが、ここでは以下の条件で金額を書きたいと思います。

◎住宅の基本性能は下げない
「健康で快適なサステナブルな暮らし」を目指すのであれば、基本性能を下げるメリットはほぼありません。
唯一、イニシャルコストを下げるというメリットはありますが、ランニングコストの上昇によるトータルコストで考えればメリットではないと弊社では考えています。
言い方が厳しいかもしれませんが、コスト的に基本性能を下げざるを得ない場合は、住宅建築自体が時期尚早なのかもしれません。

◎お客様特有のご要望
弊社に設計をご依頼頂く方は、基本性能以外にもご要望を頂くことが殆どです。
内容は、木製窓やオリジナルキッチン、在来浴室(ユニットバスではなく、現場で造るタイプ)、屋上庭園、全館空調システムなど多岐に渡りますが、そのご要望を満たす額を300万円(税別)とします。

この額は、先のご要望を全て満たせる額ではありませんが、全てに対してご要望がある方も少ないので、多くのお客様のご要望を満たせると想定出来る額になります。

 

この条件で、弊社の住宅建築コストは「3300万円(以下、すべて税別)/30坪(総2階建て)」が最低限の額になります。
坪単価ですと「3300万円/30坪=110万円」ですが、坪単価は大きさによって変化する金額になるので、あまり気にしない方がいいかもしれません。

要は住宅建築コストとして、大きさに関わらず「3300万円」が最低ラインだと考えています。
※建築工事に関わる部分のみの金額です(設計料や登記費用、ローン手数料などは含みません)
※2022年4月以降の物価上昇は考慮していませんが、2022年9月現在1~2割ぐらいは建築費増加がありそうです
※30坪より広い住宅をご希望の方は、目安として「110万円/坪」を加算して頂ければと思います

 

設計料について

ここでは、「設計事務所と工務店のコストの違い」を紐解きながら、設計料について書きたいと思います。

尚、私自身は設計事務所ですので、工務店の正確なコスト管理は分かりませんが、設計事務所として工務店に工事見積作成を依頼したり、建築仲間との情報交換で知り得た情報を元にしています。

エンドユーザーの方は、設計事務所の方が「設計料の分だけコストが掛かる」というイメージをお持ちかと思います。
確かに、設計料(弊社ですと、最低350万円)のみを見ると、少なくてもその額が高いように感じますし、デザイン性が良い住宅は高くなりますので、そのイメージもあるかと思います。

しかし、工務店の立場で考えると、設計事務所の仕事であれ、自社の仕事であれ、同じプランで同じ材料を使うのであれば、建物工事本体の金額は基本的には同じだと思います。
では、どんな部分に違いが表れるかといいますと、それは諸経費です。

例えば、諸経費には人件費が含まれていると思いますが、設計事務所案件であれば工務店が行っていた一部の業務が不要になりますので、その分の経費は少なくなると思います。

そういったことでは、諸経費は設計事務所案件より工務店自社案件の方が高くなると思います。
要は、その高くなっている諸経費と設計料を比較してどのぐらい違うのかになりますが、弊社としては150~200万円程度の差になると考えています。

その差額分で設計のプロが自分らしい住まいとなるようにデザインしてくれて、第三者の立場で工務店の施工を監理してくれます。

また、コスト検討に必要なことの1つに挙げた広さを抑えるには「プランによる工夫」は不可欠で、そのアイディアの豊富さは設計事務所の方が優位だと思います。

先の「自分らしい住まいとなるようにデザイン」には「プランによる工夫=コスト減の工夫」も含まれていますので、それらも考慮した差額だと考えれば、決して高い費用ではないと思います。

 

まとめ

ここまでの内容の通り、設計事務所で住宅建築を目指す場合は、予算の初期検討が難しいのは事実です。
実際に、弊社もご相談の段階で正確な金額をお伝えすることが出来ません。

そういったことでは、工務店の方がある程度の仕様が確定している分は、初期段階でも正確な予算を把握し易いです。
よって、コスト管理を優先するならば、「エンドユーザーの皆様の目指す家づくりと工務店の家づくりがピッタリとマッチしている」という条件にはなりますが、工務店に依頼するのがベターだと思います。

尚、建築全体の「コスト調整」は、自由な発想でデザイン出来る設計事務所の方が優位だと思います。
従って、自分らしい住まいを目指す(言い方を変えると、クライアントの希望で予算の使いどころを決めたい)のであれば、工務店の方が良いとは言えないと思います。

設計事務所のメリットは、先の通りに、、
◎自分らしい家づくり → コスト調整を含めた詳細なご希望に対する高い実現性の確保
◎建築現場の監理 → 第三者の立場による透明性の確保
があります。
また、自身の代わりとなるプロジェクトリーダーの役割を満たしてくれることも、大きなメリットだと思います。

1つ言えることは、設計事務所と工務店のいずれに依頼する場合でも、住宅建築に掛けられる予算がギリギリな場合は、無理に建築する必要はないと思います。

ライフサイクルや生活スタイルに縛られるあまりに、無理な家づくりをするケースも見受けられますが、必要な住宅性能を満たせる予算がご用意出来るタイミングで、建築されることをお勧め致します。

 

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