House-TA-02 基本設計とPHPP

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基本設計

基本設計とは、主に建築物の方向性を決める作業を指します。
外観デザインや間取り(プランニング)の検討はもちろんですが、耐震性や耐久性、温熱性といった住宅建築の基本要素をどういった構成で実現させるのか、なども決めていきます。

とは言え、先の基本要素については、、
・耐震性は、許容応力度計算による耐震等級3以上を目指す
・耐久性は、雨漏れや結露による構造木材の腐朽やシロアリ被害を防ぐ
・温熱性は、パッシブデザイン要素をPHPPでシミュレーションし冷暖房負荷を検討する
など、弊社の設計コンセプトで決まっていることもありますので、基本はそれらを踏まえて外観デザインと間取りを検討する作業となります。

 

狭小地の間取り

さて、まずは建物のボリュームを検討することから始まりますが、今回は狭小地のため3階建て住宅として敷地を有効に使うことが基本路線ですが、3階建ての場合は2階リビング案になることが多いかと思います。

そんな3階建て住宅の基本的なことを思い描きつつ、色々なパターンを想像してプラン検討を進めたわけですが、今回は1階リビング案をご提案しました。

私は東京を主な活動拠点としておりますので、今までも3階建て住宅を設計してきましたが、そのほとんどが2階リビング案でその大きな理由は、1階と3階に配される個室からのアクセスを良くする為です。

また、次に多いのが見晴らしを重視した3階リビング案かと思いますが、何故に1階リビング案をご提案したのか?
それは、、
・1階から3階に上がるに連れてパブリックエリア(リビング)からプライベートエリア(寝室)になる様なゾーニング
・空間を効率よく(1つの場所が居室になったり、廊下になったりする)使用可能なゾーニング
などの使い勝手や効率を考慮したアプローチと、敷地を拝見した当初に想像した「ちょっと奥まった玄関から、カフェにでも入るようなLDKを作れたら面白いな」という思いが重なって、この1階リビング案にたどり着いたからです。

3階建ての1階リビング案は、ポピュラーな解ではないため難色を示されるかな?とも思いましたが、2階にLDKがあることの利点が今回の狭小地という敷地条件では然程なかったこともあり、特に問題もなく本ゾーニング案で進めることになりました。

 

PHPP・エネルギーシミュレーション

ゾーニングの方向性が決まったとは言え、狭小地であるがゆえに今までの生活スタイルを変える必要もあり、懸念として挙がった事項を1つずつ意見交換しながら調整していきましたが、基本設計の途中からはPHPPによるシミュレーションも同時に行います。

また、PHPPに先立ち、アプリによる太陽高度チェックやSketchUpでの影シミュレーションも行います。

温熱設計に関わる仕様の詳細はここでは割愛致しますが、狭小地とは言え、壁の付加断熱をやらないことはありません。

窓については、Smartwin(スマートウィン)の防火窓でもあれば積極的に選択するところですが、現状では防火窓の設定がありませんので、APW430防火窓のニュートラルガラス仕様を基本としました。

換気については、ひとまずデマンド型第3種換気システムとダクトレス型熱交換換気システムの併用としましたが、空調換気をどういったシステムで構築するのかは、この段階では考えがまとまりませんでした。

暖房需要としては、床面積が小さく日射取得量も少ないので余り数字は下がりませんが、(ヒートブリッジを考慮した)Ua値としては「0.27W/㎡・K」になったので、断熱性能としては十分かと思います。

現在は実施設計中で、この結果を元に構造設計も加味しながら、本計画の最適解を見つける作業をしておりますが、実施設計の内容含め結果は後日ご紹介出来ればと思います。

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