防火・準防火地域とは
住宅などを建築する敷地には、建築基準法上の様々なルールがあり、敷地に対して建築出来る広さや高さ、用途などが制限されていますが、基本的にはその地域に適した環境が維持されるように制限を掛けています。
その中で、「防火・準防火地域」というルールがあり、その地域内の建築物はその規模によって各種の火に強い構造の建築物(以下、耐火・準耐火建築物など)にする必要があります。
東京で言えば、23区内全域で準防火地域以上のルールが敷かれています。
例えば、防火地域内で100㎡超の2階建て木造住宅を建築する場合は耐火建築物にする必要があったり、準防火地域で3階建て木造住宅を建築する場合は準耐火建築物にする必要があります。
準耐火構造とは
そのような状況を踏まえ今回は、準防火地域内に建築される「木造3階建て住宅」の外壁の仕様を決めて行く流れを断熱材にフォーカスして書いていこうと思いますが、この計画は準耐火建築物にする必要があります。
簡単に準耐火建築物を説明すると「壁や柱、床、階段などの主要構造部をある時間内の火災によって損傷などを生じないようにする必要がある」というものです。
今回で言えば「45分準耐火建築物(以下、45準耐)」にする必要がありますが、目的の1つは火災などが起きた時に建築物から逃げる時間を確保することです。
45準耐の外壁仕様には2つの種類がありまして、、
1)告示によるもの
2)認定工法によるもの
ですが、ここでは多くのシチュエーションで採用されている2)認定工法にて話しを進めます。
認定工法を考える
認定工法とは、試験等を経て耐火性が認められた構成のことですが、その使い方に注意があります。
それは、試験等で指定していた材料以外の材料をその構成の外側にも途中にも使ってはいけない、というものです。
ある意味当然と言えばそうですが、その加えたい材料が(耐火性能を損なわないと予想される)不燃材料だとしても使うことが出来ません。
外壁の認定工法は、外部側から①外装材②外付(付加)断熱材③柱間充填断熱材④内装下地材で構成されていることが殆どです。
②や③については認定によって有無がありますが、認定の構成に外付断熱材が指定されていない場合は充填断熱しか出来ないということです。
要は、私としては温熱環境を考慮して断熱材の厚みや種類を決めたいですが、実際は外壁の認定内容によって決まってしまうということです。
これは、防火地域などで高断熱住宅を設計する際に大きな壁となります。
外壁-45準耐で一番有名な認定が「QF045BE-9226」で下記の通り、、
①外装材:窯業系サイディング張
③柱間:グラスウール(以下、GW)若しくはロックウール(以下、RW)を充填断熱
④室内側:石膏ボード張
と言う構成ですが、この認定では柱間にしか断熱材が入れられないので、一般的な木造在来で言えば120mm厚までしか施工出来ません。
また、外装材も窯業系サイディング以外は使えません。
従って、サイディング以外の仕上げ材を使いたい場合は、例えばチャネルオリジナルの防火木材外壁材ウイルウォールの認定「QF045BE-0107」など別の認定を使うことになりますが、充填断熱しか出来ないことに変わりはありません。
高断熱を考えれば「付加+充填断熱」は必須なのですが、今現在は旭化成建材のネオマフォームを使った認定「QF045BE-0868」やStoJapanのEPSを使った認定「QF045BE-1370」など数えるほどしかありません。
本来で言えば、GWやRWは不燃材料ですので「付加+充填断熱」としても何ら問題がないように思いますが、認定としては(2018.05現在)存在しません。
これらの状況について、いろいろなメーカーに話しを聞いていますが、45準耐で高断熱にする物件が全国レベルで数%しかなく、認定の為に必要な膨大な試験費用がペイ出来ないので、二の足を踏んでいるようです。
昨今は、社会的に省エネ住宅の必要性を説いていますが、大都市東京で建てる高断熱住宅は建築方法を制限されている状況です。
先にも書きましたが、少なくても不燃材料であるGWやRWぐらいは「付加+充填断熱」と出来る認定を用意すべきかと思いますので、各メーカーさんには頑張って頂きたいですね。