column037 戸建をリノベする-調査編

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前回の購入編(column031)で調査の重要性を書かせて頂きましたが、今回はその調査についてです。
今回取り上げる調査は、「建物履歴調査」と「既存住宅現況調査」です。

 

建物履歴調査

履歴のことを簡単に書くと、その住宅はどのような歴史を持っているのか?ということです。

例えば、築10年程度の住宅なのか、それとも30年以上経っているものなのか、または、新築後に増築などの改修工事をしたことがあるのか、などです。
それは、見た目だけでは判断が難しい劣化度合いなどを、正確に予測するための手助けになります。

その中で重要なことが、建築基準法上の適法性を調べることです。

それには、建築確認図書(確認済証)と検査済証という2つの公的書類の有無を調べます。
その2つがあれば、ひとまずは適法している可能性が高いことになります。

尚、完成後にリフォーム工事などをしている場合は、違反建築物になっている可能性があり、確認建築図書と現況に相違がないか、は確認する必要があります。

また、適法性が重要な理由がいくつかあります。

例えば、確認申請が必要な改修工事をする場合は、基本的にその住宅が適法していることが前提になります。
更に、リフォームローンなどを活用する場合に適法性が審査の対象になることもあり、そういった観点からも重要となります。

ちなみに違法建築物は、完了検査などは受けていないが建築物としては適法な「届出違反」と建築物そのものが違法状態となっている「実態違反」に分けることが出来ます。

届出違反は、建物自体は適法だということが調査などを経て証明出来れば、確認申請が必要な改修工事も可能になります。
しかし、実態違反は、その違反箇所を是正する工事が必要になるので、手続き上も費用負担としてもハードルがとても高いです。

どちらにせよ、適法性を証明する手続きがとても大変なので、検査済証などの公的書類が残っていることは非常に重要ですが、公的書類が手元に残っていない場合も役所などに履歴が残っていることがあります。

それを調べるためには建築当時の所有者を知る必要があり、法務局も利用して調査することがあります。

 

既存住宅現況調査(ホームインスペクション)

これは、(履歴調査で調べたこともふまえて)実際の既存住宅を調べることですが、先に書いた「確認建築図書と現況に相違はないか」の確認もこの調査に当たります。

購入前と購入後で目的が違いまして、購入前の場合は「重大な瑕疵はないか」を調べることが一般的です。
瑕疵とは主に、瑕疵保証制度で対象となる「構造耐力」と「雨水侵入防止」のことで、2018年4月の改正宅建業法にて、中古住宅取引の際にホームインスペクションの説明が義務化されました。

基本的には非破壊の目視調査のため、確実に瑕疵が見つかるわけではありませんが、確認出来る範囲で建物の現状を把握し推測することは、売買においてのリスクを減らすことにつながります。

また、購入後の場合は、改修設計を行う上で必要な現状を詳細に把握することにあります。
当然、先のような瑕疵を見つけることも含まれますが、小屋裏や床下に侵入して非破壊・目視で可能な範囲は全て確認します。
また、必要性に応じて、多少の破壊を伴う目視調査も行います。

改修工事の場合は、どうしても解体しなくては分からないことが出てきます。
しかし、詳細な状況調査を行うことで様々な劣化状況を推測することが可能で、大きな設計変更や工事がストップするような事態を避けることも可能になります。

設計や工事をスムーズに行うためにも、しっかりとした調査が肝要かと思います。

 

★今後の予定
・戸建をリノベする-法規編
・戸建をリノベする-計画編

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