土壁

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自然素材でつくりたい

家づくりを検討する時、なるべく自然素材でつくりたい、はきっと皆が一度は思い描くことだと思います。

しかし、自然素材であるがゆえに例えば、木材に節や傷があったりするとそれがクレームになるため、ハウスメーカーなどは標準採用をしませんし、要望されても断わられることがあると思います。

また、構造材を集成材としたり内装仕上げをビニールクロスで造ることが当たりまえになって来ると、予算感として無垢材や漆喰や珪藻土などの塗り壁が高額に思えてしまうため、採用を躊躇することにつながります。

それ以外でも、東京などの都市部では、防火性能上自然素材が採用出来ないこともあるため、様々な理由からハードルが高くなっていることも事実としてあります。

とはいえ、そういった事実を踏まえても要望としては皆さまお持ちで、ビニールクロスのように出来た時が最高の状態ではなく経年変化による美しさは皆さま知る所であり、あの手この手を使い少しでも自然素材を使う努力を多くの設計事務所や工務店でされていると思います。

 

土壁でつくりたい

そんな自然素材の中でも「土壁」は、採用へのハードルが高い自然素材の1つだと思います。

土壁を採用する場合、ハードルがいくつかありますが、その1つが耐震性です。
現在は、構造用面材で4.0倍などの壁倍率の耐震壁がつくれますが、土壁の場合はt70で1.5倍しかとれません。
まあ、併用すれば良い話しではありますが、伝統建築的な家づくりをしたい場合はけっこう大変です。

2つ目は、断熱性です。
土壁は、そもそも断熱材と併用されることが一般的ではない(想定していない)ので、気密性を含め防湿や結露の問題を考えて断熱材を施工しないといけないので、きちんとした裏付けを持って設計する必要があります。

また、現在の法律上は断熱材を入れない家も造ることが出来ますが、断熱材がなかった100年前ならまだしも現在は多種の断熱材が販売されているわけで、土壁を採用したからと言って断熱性が損なわれてよいわけではありません。

現在、多くの住宅で採用されている仕上げ素材としての漆喰や珪藻土などの塗り壁は、石膏ボードを下地として塗れる商品で、いわゆる既製品として流通しています。
しかし、本来は土壁を下地としての仕上げ材ですので、壁全体として持っていた調湿性や蓄熱性は損なわれています。

そういったことを踏まえると、より本物、本来の良さを求めて土壁でつくりたいと考えたりします。

 

パッシブハウスと土壁

私は普段パッシブハウスを基本に設計を行っておりますが、高気密高断熱化されたベース性能の高い住宅では、調湿性や蓄熱性のある土壁がよりその効果を発揮するのでは?と思っております。

そんな以前より興味があった土壁による家づくりですが、なかなか造る機会も(新築住宅に採用している例を)見る機会もありませんでしたが、昨年その機会を得ることが出来ました。
また、その続きとして、先日も施工中の土壁の家を見学することが出来ました。

現在、その土壁を検討している計画があるので、お知り合いになった左官職人の方にねほりはほりと質問しながら、その実現に向けて日々検討をしております。

今のところ採用となるか分かりませんが、いずれは「Project」でもご紹介が出来ればと思います。

 

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