H-KRH-05 設計から工事請負契約

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本計画は、長野県・軽井沢町で設計中の一戸建て住宅です。
避暑地として有名な軽井沢ですが、冬は氷点下になるほど寒い地域です。

そんな軽井沢で、夏も冬も快適に過ごすことを望んだお施主様と共に、パッシブハウスを目指しています。

 

基本設計から実施設計

土地取得から10数年経つ本計画でしたが、施主のH様の思いが積み重なっておりますので、やはりと言うべきなのか、内容をまとめるのにとても難儀しました。

一番初めの投稿にも書きましたが、私がH様からお聞きした主なご希望は、、
・パッシブハウス認定を取得したい
・家具などをDIYで作りたい
の2つです。

H様は、ご自身でスケッチアップという3Dソフトも使いこなす強者で、計画案もパワポでまとまっておりました。
そんな状況の中、私が基本設計段階で行ったことは、プロとしてプランを整理することと構造を踏まえた空間構成を考えること。

プランについては、それなりにダメ出しさせて頂きましたが、H様の凄いところは最後までご自身で考えるところ。
そのうち「あとはお願いします。」と言われるかと思っていたのですが(笑)、そういったことはありませんでした。

空間構成については、大きな吹抜を要するプランをご要望で、柱も極力立てたくないとのことでしたので、構造設計者と相談してトラスで小屋組することにしました。

トラスはよくある木造のそれではなく、トラスとトラスをスチールパイプで連結するような工法になったので、住宅とは思えないスケール感をもたせられそうで、今からワクワクしております。

 

実施設計から工事見積

本計画はパッシブハウス認定取得が目標なので、PHPPというエネルギーシミュレーションソフトを使いながら断熱や窓の仕様を決めていきますが、先にも書いたように吹抜がとても多いプランなので、数値をクリアするのがとても大変です。

それは何故か?
パッシブハウスで求められている性能は、主に分母が床面積で計算される冷暖房需要という値で求められるからです。

詳しい説明を書くことはまた別の機会にしたいと思いますが、、
主に熱が逃げる外皮(外気に接する壁や天井、床のこと)に対して吹抜によって床面積が減少することは不利側に働きますが、これは必要以上に断熱性能を上げることにつながり、最終的にはコストアップにつながります。

断熱構成を検討している段階でやりすぎ感をとても感じていましたが、当然というべき結果なのか、工務店から上がってきた見積書にそれが反映されていました。

どんなお客様でも予算が湯水のようにある方はおりません。
当然、今回もコストダウンを検討しましたが、パッシブハウス取得を条件にしていると大胆なコストダウンにならないので、「必須」という条件から「認定を目指しながら、本来必要な温熱性能を確保していれば良い」と条件を変更頂きました。

結果として、基礎設計を含む全体の仕様を大幅に変更して、お客様工事(DIY)部分も大幅に増やして頂き、何とか金額をまとめることに至りました。

現状は、最終的にまとまった仕様でシミュレーション中ですが、軽井沢という地でパッシブハウスを増やしたいと思っていますので、何とかパッシブハウス認定が取得出来る状態を保っていてくれると良いのですが。。

 

工事請負契約

今回、当初予定していた工務店から変更するなどの事態もあり、見積書をまとめるのに半年以上の月日を要しました。
私個人的にも大変な作業でしたが、何とか工事請負契約まで進むことが出来て安堵しております。

本計画は、「モダンバーン(現代的な納屋)」をイメージしておりますが、トラス構成の大胆な吹抜空間は一見の価値があると思いますし、設計者としても大変楽しみにしておりますが、その分工事も大変です。

工務店は、以前も「House-KH(木と樹の家)」という難しい案件を施工頂きました株式会社参創ハウテックの軽井沢部門である軽井沢建築社です。
実は、監督も同じ、更に言えば構造設計者も同じです。

軽井沢と言う地でありながら東京と同じメンバーで出来る環境になりましたので、大変な工事になると思いますが、気負うことなく工事を迎えられることに感謝ですね。

 

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