column028 換気と通風を考える

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換気と通風と漏気

住宅建築を考える時に「換気」と「通風」を混同している設計者を見かけます。
更に言えば「漏気」も加わって、3つの違いをきちんと理解して設計出来ていないことが多いと思います。

ここで、それぞれについて簡単に説明したいと思います。

換気について、悪化した室内空気を清浄な外気と入れ替えることを指します。
方法としては、自然換気と機械換気に大別されます。

通風について、夏などに気流によって在室者の体感温度を下げ、室温上昇を抑制する自然換気を指します。
一般的には0.5~1.0m/sぐらいの気流速度が必要です。

漏気について
、いわゆる隙間風です。
昔の住宅(今でも多くの住宅がそうですが)は気密性が悪いため、特に冬場などは暖められた空気が上昇するのに合わせ、床の隙間から冷たい外気が入って来るため、非常に不快な現象となります。
ちなみに、漏気も自然換気の1つと言えます。

 

換気の目的とは

ここまでで分かる通り、通風も漏気もある意味換気の役割を果たしているので、混同しても仕方がない所はありますが、換気については在室者のために清浄な空気状態を作ることが目的であり、目標となる値があります。

それを「必要換気量」と言います。

しかし、先にも書いた通り、通風の目的は温熱的な快適を得ることです。
漏気に関しては勝手に出入りするものであり、人が制御することすら出来ません。

換気には、キッチンやトイレなど空気が汚れやすい箇所のみを換気する「局所換気」と家全体を換気する「全般換気」があります。
現在は全般換気と言えば、シックハウス法に示されている通りに化学物質(VOC)を排出することを目的として行われています。

本来は、CO₂や臭い、細菌、熱、水蒸気なども含んだ汚染空気を希釈することも含まれておりますが、この空気汚染について「家の気密性を上げるから(隙間から空気の入れ替えが出来ず)空気が汚れる」などと説明する設計者がいます。

先ほども書いた通り、勝手に出入りしてしまう漏気に必要換気量が決まっている換気の代わりをすることは無理があると思うのですが、その無理をどのように解釈しているのか?いつも疑問です。

 

通風は本当に省エネなのか

それと、多くの設計者が思っていることに、省エネルギーのために「夏はなるべく通風で涼を取った方が良い」という意見がありますが、本当にそうでしょうか。

そもそも通風には「体感温度を下げ、室温上昇を抑制する」ことが必要です。
従って、ただ窓を開けただけの状態を通風とは言わず、それは換気です。

また、先に書いたような空気に一定以上の動きが出ることで通風効果が得られますが、外気が高温・高湿だった場合も必要な効果を期待できるでしょうか。

確かに、通風はエネルギーを使っていませんから省エネに間違いはありませんが、屋内環境の快適性がきちんと担保出来ないとすれば、果たしてそれでいいのか?は良く考える必要があると思います。

本来の設計とは、換気・通風・漏気に限らず様々な事象を複合的に考える必要がありますが、どれか1つだけにフォーカスして良し悪しを判断しているケースが非常に多いように感じます。

また、複合的に考えないことは、ある事象の不具合に対して根本的な解決に至らないことにつながると思います。

1つ1つの事象に対しての役割をきちんと理解し、その住宅建築に必要な性能とは何なのか?を複合的に考えることが快適な住環境につながると思いますが、如何でしょうか。

 

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