CHM200の実地研修

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全館空調システム

住宅を冷暖房するシステムはいくつかあると思いますが、今回は「CHM200(Zehnder china製)」という熱交換換気システムにエアコンが一体になった「給気冷暖房ユニット」の実地研修がPHJで開催されましたので、開催地である宮崎まで行って来ました。

パッシブハウスに代表されるような高性能住宅(ここでは、Ua値C値が0.3以下程度を想定)では1台の壁掛けエアコンで冷暖房が可能になり、一般的には「1階に暖房用で1台、2階に冷房用で1台」で運用することが多いかと思います。

但し、この各階にエアコンを設置する方法は、吹抜等を介して家中の空気がつながり易い環境であることが望ましいので、都市部の3階建て住宅や個室が多い住宅では運用が難しい場合があります。

そういった場合に、熱交換換気システムにアメニティーエアコン(ダクト配管型エアコン)を簡易的に一体化させて全館空調システム(以下、簡易型全館空調システム)を組む方法が採用されることがあります。

この方法は、ダクト式の熱交換換気システムを採用していることが条件にはなりますが、同じダクトで熱交換換気システムからの新鮮空気(SA)とエアコンで温度調整された空気を一緒に各居室へ運ぶことが可能になるので、先のような個室が多い住宅等で重宝するシステムです。

弊社でも、設置に無理がない限りダクト式熱交換換気システムを採用していますので、このシステムでの空調換気をご提案することも多いかと思います。

 

給気冷暖房ユニット

先に紹介した簡易型全館空調システムは熱交換換気機器とエアコンを別々で用意する必要がありますが、今回の実地研修で学んだCHM200(Comfohome200/HP式全熱交換換気システム)は換気機能と冷暖房機能が一体になった給気冷暖房ユニットです。

 

一体型ということで性能面で不安になる方がいらっしゃるかもしませんが、CHM200を製造しているZehnder china社はスイスのZehnder社のグループ会社ですので、換気システムで使用している全熱交換素子は高分子ポリマー製のZehnder独自の素材を採用しています。
そういったことからも高性能であることが伺えますし、熱源であるヒートポンプについてはパナソニック製ですから、単なる輸入品ではない一面も持ち合わせています。

※詳しくは、輸入代理店である(株)タナカホームさんのHPを参照してください。

受けた説明の中で私が思う最大の特徴は、換気と空調が一体化されているので、きめ細かく空気質を制御出来ることだと思います。

その操作はタッチ式のパネルで行いますが、操作性抜群で一般的なリモコンとは一線を画すカッコよさです。
基本的には自動制御がお勧めとのことですが、「在宅時」「外出時」「来客時」などのシーンごとで設定していくことも出来るので、とても使い易いように感じました。

 

簡易型でも一体型でも換気と空調を行うことに違いはありませんが、CHM200はきめ細かい運転制御が可能になるため、よりパッシブハウス等の高性能住宅に最適化された製品であると言えるかもしれません。

唯一の弱点はサイズが大きいことかと思いますが、熱交換換気機器とアメニティーエアコンを別々に設置することを考えれば、一体型になったメリットはあると思います。

現状、導入するためには一定の条件がつけられており、超高性能住宅への理解と高い専門性が必要とされています。
ひとまず、PHJ会員なら相談に乗ってくれるとのことですので、パッシブハウス性能の住宅を設計される方は換気空調の1案として検討されては如何でしょうか。

弊社でもそういった案件がありましたら、前向きに検討したいと思います。

 

杉版Smartwin

最後、少し話が変わりますが、高性能木製窓Smartwin(スマートウィン)について。

現在は、木部をパイン集成で構成していると思いますが、それを日本の杉材で作る計画があるらしく、宮崎に行ったついでに鹿児島まで足を延ばし、その杉集成材を加工しているドリーミィ大和さんの工場へ視察に行きました。

低温乾燥の部類に入る燻煙熱処理という「熱と煙で木材の成長応力による狂いを軽減させ、併せて乾燥を促進させる」という方法で材料を乾燥させているそうです。
普段は幅接ぎフローリング等の仕上げ材を加工しているので、窓材の加工もお手の物みたいです。

杉版Smartwinの製品化は決まっていないみたいですが、モックアップを見てとても良かったので是非お願いしたいですね。

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