PHJ関東支部 2019第2回勉強会

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見えないものをデザインする

私が所属するパッシブハウス・ジャパン(以下、PHJ)では、エネルギーと温熱環境を主に扱っている団体ではありますが、温熱環境以外にも建築に必要な要素はたくさんあります。

そんな中、普段から「温熱」という目には見えないコトを扱っている中で、建築に必要な要素は目に見えないことが多いという部分に着目しまして、PHJ関東支部では6月25日に「見えないものをデザインする」という勉強会を開催致しました。

目に見えないことはいろいろとあると思いますが、今回のお題は「電磁波」「音」「VOC」としました。ここでは、余り馴染みがないと思われる電磁波について少し書こうと思います。

 

電磁波を知る

電磁波は2つの言葉が合わさって出来た言葉だそうで「電界」と「磁界」を合わせたものを「電磁界」若しくは「電磁波」と呼ぶそうです。
ここでは、呼称として電磁波で統一して表現します。

電磁波には、携帯などで利用している高周波のものと、家電などから発生する低周波のものまで幅がありますが、今回のお話しは住宅などの配線から起こっている超低周波の電磁波についてでした。

現在の住宅では、約1kmの電線を照明やコンセントのために使っています。
工事中に現場に行くと、1階の天井裏などにすごい量の電線を見ることが出来ますが、その影響で2階の床などに電磁波が発生しており、長期に渡り電磁波に晒されていると、肌荒れやアトピーなどの健康被害になる方もいるそうです。

そんな健康被害で一番怖いのは「電磁波過敏症」という病に掛かることであり、化学物質過敏症(シックハウス症候群)などと同じように一度掛かると基本的には直らないそうです。

尚、お互いの因果関係は分かっていないそうですが、どちらかの過敏症になるともう一方の過敏症にもなり易いようで、相互的な環境対策がリスクの軽減になる、とのこと。

このように健康リスクがあることですので、当然何らかの規制は掛かっているのですが、御多分にもれず日本の基準はヨーロッパに比べ低く、1/10程度の規制だったりするみたいです。

これは、携帯電話を例にとると分かり易いですが、耳に着けないで使用するのは欧米では当たり前のことみたいですが、日本ではそんなことに気を付けている方は殆どおられないと思いますので、意識が違うことは否めません。

ちなみに、発がん性については、G2B(人に対する発がん性が疑われる物質、環境など)に属すとのこと。
ちょっと調べたらアセトアルデヒドも同じG2Bのようで、相互的な対策に意味がありそうです。

最後に、対策のことを少し書いておきます。

まずは、きちんとアースを取ることです。
日本のコンセントはこれにも対応していないことが多いので、意識の低さが露呈しています。

そこで、コンセントできちんと対策出来ない時は、導電性スパンボンドという専用部材(不織布)をつかって、電磁場と静電気に対応する方法もあるそうなので、ご興味のある方は検索してみて下さい。

 

次回以降もマニアックに

ここでは書きませんでしたが、音についてもVOCについてもそれぞれに参考になる話しがたくさんありました。

住宅設計を行う上では知っておいて損はない内容だったと思いますので、多くの方にご参加頂きたかったですが、少しお題がマニアック過ぎたのか、参加者が少なったことは残念でした。

次回以降のお題をどうしたものか悩むところですが、懇親会にご参加頂いた皆様より「PHJの勉強会はマニアックでいいと思う!」とのご意見を頂けましたので、今後も知識を深堀するようなお題で勉強会を企画出来ればと思っております。

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