一般社団法人ロングライフ・ラボ

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持続可能な社会構築をめざすためのシンポジウム

ちょっと時間が経ちましたが、11月1日に一般社団法人ロングライフ・ラボ(以下、LLL)のシンポジウムがあり、それに参加して参りましたので、その感想などを書こうと思います。

LLLは、私が賛助会員として参加しているパッシブハウス・ジャパンの仲間である清水雅彦氏が代表理事を務める団体です。

国民の生活や健康に悪影響を及ぼすテーマにも関わらず、経済効率が優先されるあまり、生活者には積極的に伝わらない「情報」を、一人でも多くの方にお伝えすることがLLLの役割、と考えているとのこと。

そんなLLLが重点的に取り組んでいる分野は「住まい」「健康」「環境」です。

冬に寒い家が当たり前と思われている日本では、断熱材が入っていない住まいが適法として建つことがゆるされ、住まい手は健康を害しながらも当たり前として住み続けています。

温暖化対策やごみ問題など地球環境を守っていくことは、その持続可能性を考えることだと思いますが、その環境の一部である住まいや住まい手の持続可能性が疎かになっている気がします。

現在の情報化社会では、ちょっと調べると情報が入ってきて、さも分かったような気になりますが、きちんと探しに行かなければ正しい情報は入って来ないですし、それを正しく理解するには考えなくてはいけません。

「当たり前」と思っていることが、実は「当たり前ではない」ことに皆が気付き、LLLが発信する情報を受け取った一人ひとりが「行動を変える」ことで「ロングライフ(持続可能)な社会に変える」ことが出来れば、きっと住みよい社会になると私も思っています。

パッシブハウスな家づくりもLLLの理念と基本は同じですが、ある意味建物に特化している分、それらが分かりにくくなっているかもしれません。
LLLはそれを分かり易く皆さまに情報として届けてくれると、私としては大変期待しております。

詳しくは↓をご覧ください!
https://www.longlife-lab.jp/

 

超高齢化社会への対応

今回のシンポジウムでは、官僚の江崎禎英氏、医師の石原新菜氏、建築家の森みわ氏が基調講演をされましたが、私としては江崎氏のお話しが衝撃的でしたので、その内容に少し触れたいと思います。

江崎氏は、経産省と厚労省の役職を兼任しているスーパー官僚ですが、今回は「超高齢社会への対応 ―人口構造の転換社会経済システムの見直しー」とのお話しをされました。

高齢化社会とは、高齢化率が7%を超えた人口比率の状態を言うそうですが、14%、21%と上がることに高齢社会、超高齢社会となります。
ちなみにそのあとは、超超高齢社会(28%)、超超超高齢社会(35%)となり、2060年に日本は超超超高齢社会を迎えるそうですが、ここで江崎氏が示したのが、50歳を基準とした250年間の日本の人口推移です。

それで見ると、明治維新から戦後の十数年までは50歳以上が20%しかいませんが、バブル経済期を境にその割合が増え、2050年以降は55%ぐらいの割合で安定することが分かります。

要は現在の人口割合は、19世紀型から21世紀型への転換期であるとのこと。

高齢化率の急激な高まりが社会保障費の圧迫などの社会問題を起こしているみたいな話しがありますが、それは19世紀型の人口割合で考えた制度に無理やり当てはめようとするからです。

本来は、2050年以降の社会をふまえて社会保障制度を見直しつつ、それまでの期間をどうやり過ごすか、の議論をすべきですが、例えば、現在年金をもらっている方や近い将来年金をもらう方の理解が得られないので、そういった議論にならないのかな、と私は思っています。

たぶん私と同じ団塊ジュニアな方々は、一番中途半端な時期・世の中で人生を過ごしていると思っていますが(笑)、それって仕方ないですよね?

何か、もっと建設的な話し合いが出来る世の中になれば良いと思いますが、どうも日本人は本来目指すべきことより思いや感情が優先される傾向にあるように思え、もったいないなと思うことが多いです。

 

人生100年時代を考える

そんなグラフなどを使い、現状を分かり易く整理して下さる江崎氏のお話しでとても刺激を受けたのが、人生の2週目がある時代になる、というお話しです。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、人間の生物学的な寿命は120年あるそうで、旧約聖書にも120年生きた人のことが出ているとか。
要は、還暦とは暦が一周したことですが、120年だと暦が二週する、ということです。

現在では、どうして病気になるのか分かったり、癌などは早期発見が可能になって来ていて、近い将来「人生100年時代」が普通にやってくると思います。

江崎氏曰く、、
・誰もが健康で長生きすることを望みそれが可能になれば、社会は必然的に高齢化する。
・高齢化は対策すべき課題ではなく、与えられた時間を如何に楽しく健康に生きるかを考える。
これが重要だ、とのこと。

要は、二週目の人生における「幸せの形」を見つける必要があるわけです。

これからは、現在のように定年があるような社会ではなく、一生何かしらにおいて社会に貢献し続ける(られる)社会で、今言う「現役世代が高齢者を支える世の中」ではなく、「二週目が子育て世代の一週目を支える時代」になります。

これを聞いていて思ったことが、、
・家づくりは「二週目の人生の拠点」として考え、子育て時代は賃貸で過ごすようになるかも
・家の耐久性を長寿命化することが当たり前になるかも
・一生でやる仕事が1つや2つではなく、もっと増えたり、二週目を考えた仕事になるかも
など、すごい発想の転換がありそうです。

こんな時代にするには、そもそも健康でなければいけません。
現在も健康ブームでその兆しがありますが、本気で二週目を考え出すと、また違った健康ブームもありそうです。

他にも面白い話しがありましたが、ちょっと話しがまとめきれないです。笑
とにかく「そういうもんだ」って思っていてはダメで、常に「疑問を持って、考えることを止めない」思考停止状態に陥らないことがとても重要だと思います。

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