APWフォーラム&プレゼンテーション2019@東京

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窓メーカーのYKKapでは、自社の商品紹介と高性能な窓を使うことの意義を念頭に置いたセミナーをAPWフォーラム&プレゼンテーションとして毎年開催しております。
聞いたところによると今年で8年目らしく、大変意義のある活動を長きに渡り行っています。

私は、YKKグループによるプロジェクトに関わったことがあり、このフォーラムのことも話しは伺っていたのですが、、初めて参加することを会場でお会いしたAPの方に伝えると「それはどうかと思うなあ。笑」とつっこまれた次第ですが、ようやく参加する機会を得ました。

 

快適な暮らしを目指すこと

さて、今まで参加したことのなかった私が、何故参加することになったかというと、PHJ仲間の方がVTRで出るから観に来て!とお誘い頂いたからです。
その方とは、軽井沢南ヶ丘パッシブハウスの設計者でオーナーである菊地さん。

内容は、簡単に言うと、家の紹介と高性能住宅に住んでみての感想、です。
こういった暮らしの感想で良く聞くこととして、生活がシンプルで楽になる、という話しがあります。

分かり易い例えを出すと、春夏秋冬で家の中での服装が変わらない、ことです。
要は、一年中暑くも寒くもないという屋内環境が維持されるので、無駄に服装を変える必要がありません。
これは寝る時も同じで、冬に厚手の羽毛布団を出す必要がなく、ずっとタオルケットを掛けて寝ている、なんて話も聞きます。

家の住み心地や普段の生活を語る菊地さんご夫婦をみて、とても微笑ましく思いましたが、こういった体験談を聞いていつも思うことは、私もいつか住んでみたい!ということです。

私は、設計者としてパッシブハウス設計による高性能住宅を手掛けておりますが、実際に住んではいません。
この住んでいると住んでいないで大きな違いがあり、私がお客様にする設計手法などの説明に嘘はありませんが、住み心地の良さは、結局「聞いた話」でしかありません。

しかし、皆が同じ感想を話すことを考えると「快適に暮らせる」という体験談も嘘ではなく、本当の話しです。

なので、エンドユーザーである住まい手の方には、設計手法などを聞くと小難しく思ってしまう面もありますが、そういったことはちょっと横においといて、是非その快適な暮らしを目指す!ことをお勧めします。

また、私もなるべく早く聞いた話ではない「暮らしの良さ」をお話し出来る様になりたいと思います。

 

全館空調を考える

ちょっと話しが別の方向に行ったので、少しフォーラムのことを書きます。

セミナー講師として、今回は東大の坂本雄三さんと前真之さんがお話しをされました。
前さんは、いつもの前節で楽しい話しでしたが、割愛です。。
ここでは、坂本さんがお話しされた全館空調について。

全館空調を簡単にいうと、家全体を空調(と換気)するシステムのことです。
日本の家の多くは、居る部屋のみを空調する部分間欠冷暖房です。

部分間欠冷暖房は、限られた部屋のみを空調するので省エネには違いないですが、その部屋以外は空調されていないので暑かったり寒かったりの温度差が生まれます。
良く聞くヒートショックもその温度差が原因ですので、なるべく温度差のない居住習慣を目指すべきです。

しかし、全館空調は今まで空調されていなかった部屋も空調することになるので、光熱費で言えば上がります。
それを、なるべく光熱費を上げず、又は下げながらも全館空調するためには、ある程度の高断熱化が必要です。

HEAT20では、その断熱性能をG2グレードとしていますので、最低でもその性能が住宅に求められます。

さて、前置きが長くなりましたが、坂本さんはYUCACOシステムというものを研究・開発しています。
簡単に書くと、坂本さんは風量の多さで「大風量・小温度差」「中風量・中温度差」「小風量・高温度差」に分類していて、そのシステムは2,000m3/hという大風量でエアコン設定温度を室温と4℃以内の小温度差として空調するシステムのようです。

利点としては、エアコンの設定温度を下げ過ぎないことで、夏の結露リスクを減らすことが出来る、とのこと。
ちなみに、普通のエアコンは600m3/h程度の風量なので、「小風量・高温度差」に分類されています。

詳しいことは、もう少しお話しを聞かないと分かりませんが、気になった点は2,000m3/hという風量です。
坂本さんは、吹き出し口から出る風速は「1.0m/s」に満たないから気にならない、とのことですが、1.0m/sは普通に風を感じるレベルです。

まあ、吹き出し口の断面積を増やせば風速は遅くなると思いますが、一般的な換気風量の10倍程度の空気が家中をグルグル回っていることが、本当に体感として悪さをしないのか?ちょっと疑問です。

どこかでチャンスがあれば、そのことを確認してみたいと思います。

最近のAPWフォーラムは、PHJ仲間も講師として参加することがあり、その活躍はうれしい限りです。
もっと、パッシブハウスが世に広まって欲しい、そんなことも思うフォーラム参加となりました。

 

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