House-HT-15 建築後記と概要

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冬の感想

建物のお引渡しが完了してから半年ぐらい経過しましたが、時々暮らしのご感想を頂くなど情報交換をさせて頂いておりまして、その1つにエアコン(暖房)の稼働時間がありました。

お引渡しは2月末でしたので寒さの峠は越えた感もありましたが「エアコンを稼働させたのは引越しをして間もない頃に1度だけ」とのことでしたので、曇りや雨の日が続かない限り、基本は無断熱でいける印象をもちました。

シミュレーション上も、一番条件の悪い日で1.1kW(6畳用エアコンの約半分)の熱エネルギーがあれば室温が20℃を維持出来る結果になっておりますので、ある意味当然の結果でしょうか。

また、HEMSに接続出来る温湿度計を設置して私のスマホでもモニターさせて頂いておりますが、3月中は大よそ、、
・室温:22~23℃
・相対湿度:55~65%
ぐらいで推移していたと思いますが、何となく湿度が高いな?と思っていました。

お話を聞くと、輸入品の物干し台がなかなか来なくて洗濯物を室内干ししていたことが原因でしたので、本来はもう少し低くなると思います。

 

住まい方は住まい手が見つけていく

先のような温度や相対湿度を指標としながら、私の方から住まい方をアドバイスすることもありますが、最終的に住まい方を見つけていくのは住まい手であるお客様ご自身だと考えております。

その状況(気候にまつわる温度や湿度など)をふまえて、どのような使い方(外付けブラインドの開閉による日射取得や遮蔽、窓の開閉による換気や通風、空調のオンオフなど)が住まい手にとって住みやすいのかを体感頂きながら、その住まい手にあった方法を探す、という感じです。

例えば、5月などの季節が良い時期は、昼間はそれなりの温度になることもありますが、夜間の気温は下がりますし相対湿度も外部の方が低いと思います。
そういった時期は、夜間換気をすることで室温と相対湿度を下げることが可能になると思います。

高気密な住宅やダクト式熱交換換気システムを採用していると「窓を開けてはいけない」と間違った認識をお持ちの方もおられますが、窓を開けた方が快適な場合は窓を開けて頂いて構いません。

住宅を高気密高断熱化することは、外部と内部の関わりを断つことではなく、その都度関わり方を調整出来る性能を有することにつながると思っています。

何にせよ、住まい手が(住まい手らしい)快適な住まい方を見つめるまでに、少なくても2~3年は暮らさないと見つけることが難しいと思いますし、年々新たなことを試しながら快適な暮らし方を見つけて頂ければと思います。

また、住まい手からお聞き出来る体験等は、私としても次の設計に活かせることがありますので、住まい手とのやり取りは大変貴重なことです。

 

「焼杉と土壁漆喰の家」の建物概要

最後に、焼杉と土壁漆喰の家(House-HT)の温熱性能以外の要素を含め、最終的な性能と仕様をまとめたいと思います。
・建物規模等:木造軸組工法、地上2階建て、一戸建ての住宅、新築工事
・面積等:敷地面積196.7㎡、建築面積75.6㎡、延床面積108.4㎡(32.8坪)※別途、吹抜6坪あり

・外部仕上/屋根:ガルバリウム鋼板葺き、外壁:焼杉t15×165(働き幅)縦張り・相じゃくり加工【共栄木材】、杉赤身無垢板t15×132(働き幅)ウッドロングエコドブ漬け

・内部仕上/壁・天井:天然水性塗料デュプロン(PB下地)、一部の壁:土壁漆喰仕上げ(ラスボード下地)、床:乱尺ナラ無垢フローリングt15、他【チャネルオリジナル】、水廻り部:リノリウム張【ファルボ】

・外部建具/南面:高性能木製窓Smartwin(佐藤の窓)※ガラス性能:Ug=0.528w/㎡・K、G-value=0.5986、その他面:高性能樹脂窓APW430・日射遮蔽型ダブルLow-Eガラス(ニュートラル)、玄関ドア:イノベストD70(電気錠付き)

・断熱構成/
屋根:付加_ネオマフォームt80、充填_HGGWイゾベール・コンフォート24Kt120×2層
外壁:付加_HGGWイゾベール・コンフォート24Kt105、充填_セルローズファイバーt100
基礎:内断熱_XPS(スタイロエースⅡ)t60

・温熱性能/暖房需要:17.5(kWh/㎡・a)、冷房需要:23.1(kWh/㎡・a)、UA値:0.33w/㎡・K、漏気回数:0.35回 ※シミュレーションソフトはPHPP

・空調換気設備/全館空調システム:換気装置_全熱交換型第一種換気システム(LWZ-170JE/スティーベル)、エアコン_10畳用アメニティーエアコン(S28RLV/ダイキン)

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