H-SN-02 基本設計とエネルギーシミュレーション

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基本設計

今回は、敷地内に高低差がある土地なので、一般的な平地と比較してプランの段階で検討すべきことが色々とあります。

まずは、高低差を処理するための工事費がそれなりに掛かることが予想されたので、コストを抑えるために構造的合理性を求めながら、小さいながらも暮らしやすい住まいとなるように検討を始めました。

プランとしては、見晴らしのある土地の特性を活かして、多くの時間を過ごすであろうLDKと個室をワンルーム的に2階へ配置するプランをご提案。

また、多くの本を所有するクライアントは、あらゆる壁面に本棚を造ることを希望されたため、ワークスペースや客間などシーンによって用途が変化するMultiRoomを中心に、より効果よく本棚が取れるような計画を心掛けました。

結果として一般的ではありませんが、クライアントの個性が感じられるプランになりました。
敷地内に高低差があることは、建築コスト増などのデメリットが発生しやすいですが、クライアントらしい個性のある住まいになるというメリットもあります。

見方を変えると、難易度が高い敷地ほど設計力が問われることになりますので、そういった土地を購入された場合は、工務店よりは設計事務所に依頼される方が良いケースが多いと思います。

 

エネルギーシミュレーション

プランの方向性が決まりましたので、いつも通りにPHPPによるエネルギーシミュレーションを行いました。
結果は以下です。

暖房需要が40kWh/㎡a程度ですので、この数字のみをみれば弊社が目指している性能(25kWh/㎡a以下)には届いていません。
しかし、別の指標として断熱性能が分かるUa値をみてみると「0.25W/㎡K」と非常に低い値になっています。

それでは何故、暖房需要が下がらないのか?は、主に以下が理由になります。
◎床面積に対して外皮(壁や屋根など外気に面している部分)の面積が広い
暖房需要は、分母を床面積で計算していますので、総2階建てのようなシンプルな形状の方が有利です。

今回は土地の特性上、外皮面積が広くなりやすい上にペントハウス(屋上に上がる階段室)があるために、計算上は不利な建物形状になっていることが影響しています。

◎日射取得が取れない
暖房需要を下げるための要素の1つに「日射取得」がありますが、今回は道路面の東側以外は隣地に囲まれているために、日射取得が取りにくい立地となっています。

また、準防火地域のために性能の良い窓を採用出来ないことも、要因の一つだと思います。

 

以上が主な理由になります。

尚、何か性能が悪いような印象を与えてしまったかもしれませんが、この住宅に必要な暖房能力は1050W程度あれば良く6畳用エアコン1台で十分足りる計算になっており、省エネで快適性を得られる高性能住宅といって差し支えないと思います。

 

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