column041 暮らしの常識を変えよう

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冬の最低室温は18℃

前回のColumn040では「室温」についての様々な基準を書かせて頂きましたが、それらは基本的には最低限の状態を決めるための指標に過ぎませんので、本来はその空間の管理者や使用者によって目指すべき室温を考えなくてはならないことが何となくわかって頂けたかと思います。

その中でもWHOの提言である「室温18℃以上」は、健康リスクを考えても住宅性能におけるデッドラインだと思っています。
ちなみにここで言う「18℃」とは、何らかの暖房設備を使ってその室温を保つことを指しています。

ここからは省エネも含みますが、
先のことは、室温を18℃に維持するためにはエネルギーを投入する、と言い換えられます。
しかし、やみくもにエネルギーを使うと当然光熱費が上がりますし、(化石燃料の場合は)そもそも限りある地球の資源を無駄に使い続けることにもつながります。

ではどうするのか?
ここですべきことは我慢することではなく、きちんと断熱気密のされた住宅を造ることです。
そうすることで初めて、なるべく省エネに快適を目指す住環境が整うことになります。

上記のように、快適を得るためのエネルギーを使う行為にわだかまりを持つ方がいらっしゃると思いますが、そこは物事の考える順番を変える必要があると思います。

そもそも、何故家を造るのでしょうか。
快適で健康的な暮らしをしたいからではないでしょうか。

 

常識を変える

快適で健康的な暮らしを実現するために日本で必要なことは、まずはその常識を変えることだと思います。
それは、住宅は快適で健康に暮らすことが当たり前、だと思うことです。

もっと言えば、寒い家に住んでいることに何か罪悪感を抱いたり、友達の家に遊びに行ってデザインのことをあれこれ褒め合うのではなく、まずは温熱的に快適かそうでないか?を褒め合うような世の中に変わるといいなと思います。

では実際に快適な空間を目指すにはどうしたら良いでしょうか。
やはりここは、温熱感覚の基本となる温度(室温)を考えると良いです。

室温を整えるのに最もポピュラーな方法はエアコンを使うことです。
エアコンは設定した温度を目指して空気を温める機械ですが、古い住宅などはあまり効果がないですね。
また、効果がないばかりか強い気流を発生させることもあり、不快な状況にもなり得ます。

なので、皆さんエアコンは諦めて、コタツで温まったり床暖房を導入したりします。
床暖房は省エネでない可能性もありますが、快適性は上がるので良いとしても、コタツは最悪です。

何故か?当たり前ですが、コタツは入っていないと温かくありません。
これって、せっかく広い住宅を造ったのに、その広さを全く使えていない状況もあり得ます。
また、温熱感覚の基本となる温度(室温)にはほとんど影響を与えません。

やはり、温度を調整するにはエアコンが良いと思います。
住宅の断熱気密性能が悪いばかりに不快な機器として扱われていますが、本来は省エネに温度を調整出来る優れものです。

要は、悪いのは家の温熱性能であってエアコンではないということです。
また、そもそも断熱気密性能を向上させることは自然室温を上げることに寄与するため、冬の最低室温18℃を目指すためには高断熱高気密は必須です。

念のため断っておきますが、快適な空間を得るためにはエアコンが良い、と書いているわけではありません。

あくまでも「温度調整にはエアコンが合っている」ということにすぎません。
しかし、快適な空間を得るためのベターな選択とは言えると思います。

 

不快をなくし、快適に暮らす

ここまでの結論として、高断熱高気密住宅でエアコンを使うことで一定以上の快適は得られる、と言って差し支えないと思いますが、実際は人それぞれで快適に思う感覚が違います。

したがって、より良い快適を目指して更に各々で試行錯誤があると思いますが、ここで重要なことはエアコンにより不快ではなくなった、ということです。

より快適な空間を目指すことは、それはそれで重要なことです。
しかし、この「不快ではない」という感覚も忘れてはいけないと思います。

何故なら快適な暮らしとは「何もしない、何も考えないでも快適」なことではなく、季節や天候、地域に応じて各々が工夫を凝らしてより良い快適を目指すことも日々の暮らしだと思うからです。

今回はエアコンを例に挙げましたが、それ以外の方法でも不快ではない空間をつくれると思います。
室温18℃が維持された「不快ではない」温熱環境は日々の工夫を活かすことにも寄与しますので、まずはそんな温熱環境を目指しましょう。

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