column004 断熱材の選び方

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断熱材の種別

昨今、住宅の外皮性能が注目されていますが、その核を成すものの1つが断熱材です。
断熱材とは、伝導・対流・放射による熱移動を防ぐ材料のことですが、その種類は様々です。

大きくは繊維系と発砲プラスチック系に分かれますが、その中にもいくつかの種類が存在します。
また、木造住宅の場合は施工方法として充填断熱か外張(付加)断熱、又はその両方があります。

 

繊維系断熱材とは

まず、繊維系の代表格といえばグラスウール(以下、GW)です。
安価で種類も豊富な断熱材で不燃性や吸音性にも優れているため、使用頻度も自ずと上がりシェアも高いと思います。
GWは、細かい繊維質中に静止空気があることで断熱性能を発揮しますが、その性能を担保するためや結露防止のために防湿気密シートの施工が必要です。

GWはこの防湿気密シートの施工がキモと言えるのですが、どのようにその性能が担保されるのかということが認識されていないためか、シート施工がずさんな現場を今でも見かけます。
GWは費用対効果の良い材料ですが、性能を担保するためには高い施工精度が求められる材料という認識が必要かと思います。

GWと同じ鉱物繊維系にロックウール(以下、RW)という断熱材があります。
ほとんどGWと同じような特徴ですが、違うのが耐水性に優れているという点です。
したがって、何らかの理由で壁内が結露した場合も、断熱性能が維持されやすい材料です。

繊維系で施工精度を求めたいならセルローズファイバー(以下、CF)という断熱材があります。
専用業者が吹き込み施工をするので精度が出ます。
また、CFには調湿機能があるところも魅力の1つですが、GWと比べ多少高価な材料です。

その他、繊維系には羊毛断熱材やウッドファイバーのように天然素材を使った断熱材もありますが、高価な割に熱伝導率が優れているわけではないので、調湿性能や環境性能が良いなど付加価値に重きをおく場合に採用される傾向があると思います。

 

発砲プラスチック系断熱材とは

鉱物繊維系は、断熱・気密性能を確保するためにそれなりの技術が要りますが、ある意味手軽に高気密・高断熱住宅をやりたい場合は、発砲プラスチック系の吹付硬質ウレタンフォーム(以下、PUF)で断熱する方法があります。
GWやCFに比べ高い断熱性能を有しつつ、現場発泡による施工のため気密性を確保しやすい特徴があります。

他に発砲プラスチック系と言えば、押出法ポリスチレンフォーム(以下、XPS)、ピーズ法ポリスチレンフォーム(以下、EPS)、フェノールフォーム(以下、PF)などがあります。

基本的には、独立気泡内の空気又は空気と発泡剤(ガス)を使って断熱していますので、同じような仕組みの断熱材と言えます。
しかしながらそれぞれに特徴があり、例えばXPSとPFは「発泡剤が抜けると性能が落ちる」という懸念がありますが、EPSは空気のみですのでそういった懸念はありません。

その他にも、熱伝導率や透湿率・材料強度・吸水性などに違いがあり、熱伝導率にこだわるならPFがよいでしょうが、耐圧スラブ下などに敷く場合は、PFよりは材料強度があり吸水量がすくないXPSが良かったりします。

参考までに、一般的な特性表を添付します。

ここまでに書いた内容でも分かるように、これが良い、という材料はありません。
全ての断熱材にそれぞれ特徴があり得手不得手があります。

要するに、使う側がどういう建物にしたいのか?ということを考え、目指すべき断熱性能や使用環境などを考慮し、それぞれの材料の特性を踏まえた上で選択する必要がある、ということだと思います。

私もお施主様のご要望をお聞きする前からどんな断熱材を使うかは決めていません。
打合せを重ねる上で最適な材料を選択していくことになりますが、基本設計中には冷暖房負荷を検討し性能を決めていきますので、建物のボリュームを考える段階では何となく予想している感じです。

このあたりの話しはまた別の機会に書かせて頂ければと思います。
あなたにとっての良い断熱材を見つけて頂きたいと思います。

 

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