column034 日射熱取得を考える

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太陽と大気

地球に絶え間なく降り注ぐ太陽エネルギーは、地球の生物、無生物の活動の全ての源泉です。
また、地上に生物が安全に住むことの出来る温和な気候を形成し、陸に真水をもたらす大気の循環や降雨などの水循環は、太陽エネルギーの熱効果によるものです。

建築においても、太陽エネルギーは功罪両面において大きな役割をもっており、建物の窓から入射する太陽エネルギー(以下、日射)は、冬の室温の上昇に役立ち、殺菌、乾燥などの衛生面でも重要な役割を果たしています。

逆に過度な日射は、夏に冷房に必要なエネルギーを増加させたり、家具などに劣化、退色などの有害な働きをします。

そんな太陽エネルギーは、地球から約1億5,000万km離れた彼方から放射エネルギーとして運ばれて来ますが、太陽から地球の大気圏外に到達する法線面太陽エネルギー量は、年平均で1.94cal/cm²・minで、これを太陽定数J₀と呼びます。

太陽定数J₀=1.94 cal/cm²・min=1,353W/㎡=1,164Kcal/m²・h

ここから地球全体の年平均の熱バランスを考えると、大気圏外の太陽放射による受熱量は太陽定数(1,353W/㎡)に等しいですが、地表1㎡の受熱量は地球が球形であるため、年平均値はその1/4である338W/㎡になります。

また、このうちの1/3は雲などによって反射されますので、地球の実質的な平均受熱量はその2/3にあたる「226W/㎡」になります。

 

室内取得熱

省エネ住宅の話しになると断熱・気密にフォーカスされることが多いように思いますが、断熱・気密は(冬で言えば)熱を逃がさないという意味では有効ですが、実際はそれだけでは省エネ住宅を語れません。

私は、住宅の省エネ性を語るならば、冷暖房需要(若しくは負荷)がどのぐらい少なくて済むのか?が重要だと思っております。

冷暖房需要とは、簡単に言うと「とある地域で目標とする室温にするために、どのぐらいのエネルギー投入(光熱費)が必要なのか?」のことです。

このロジックで語ると、熱を逃がさないことと同時に、熱を採り入れることが必要になります。
熱の採り入れ方としては、内部発生熱と日射取得熱に分けられますが、これらを室内取得熱と言います。

内部発生熱は、主に照明や家電、人体から発生する熱を主に指します。
日射取得熱については、説明するまでもありませんが、日射による熱エネルギーを指します。

 

日射取得量

日射取得で一番重要なことは、南面からの日射取得量です。
東面や西面からも日射取得はありますが、そもそもの取得量が多くないので、有利に働くことが少ないです。

また、日射取得をきちんと行うためには、窓(ガラス)の性能が重要です。
要は、窓性能が悪いと、きちんと日射取得を行っても損失量も増えてしまうので、収支でマイナスになってしまいます。
(東・西・北面は、マイナスになり易いです。)

従って、、
「建物を極力真南に向け、性能の良い窓を使用し、南面窓を大きくとり、その他の東・西・北面は小さくすること」
が日射取得を考える上での基本です。

尚、現在日本で一般的となっている省エネ4等級などの省エネ基準は、日射取得のことは無視しているので、窓を小さくすることが有利とされており、パッシブデザインによる省エネ性の観点からすれば、間違った政策と言わざるを得ません。

なので、昔からパッシブデザインを謳う建築士たちは、現在の省エネ制度を悪く言ったりしますが、その方たちは損失の方に無頓着(要は、断熱・気密を軽視している)なことが多く、私から見ればどっちもどっちです。

本当の意味で省エネ住宅を考えるのであれば、きちんとした断熱・気密により建物性能を確保しながら南面窓をいかに大きくして日射取得量を増やすか、の思考で設計を進めることになると思います。

住宅設計の依頼先をご検討の方は、そんな話をしてくれる建築士を探しましょう。

 

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