column054 設計とは何か

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設計事務所は敷居が高い問題

「住宅の相談で設計事務所へ行くのは、敷居が高いと感じる」は、弊社へご相談に来られる方にも言われることの1つです。

その度に「そんなことはないですよ」と否定はするのですが、世間一般の方が「敷居が高い」と思っているのは事実ですので、ご相談に来られた方にお伝えしても何も解決はしていません。

そもそも、何故そのように思われるのかを考えてみたのですが、その立場にいる私にはピンときません。
そこで立場を変えて、私が違う士業(例えば、弁護士)の方に相談することを想像してみましたが、1つ気づいたことがあります。

それは、本来は家づくりの専門家である「建築士」という士業に住宅計画を相談すべきなのですが、ハウスメーカーの営業さんに相談へ行く、というおかしな選択肢が存在するということです。

そもそも、ハウスメーカーの営業さんが建築士資格を有していない(有資格者の場合もあります)ことをご存じない可能性もありますが、誤解を恐れずに書けば、、
家づくりにおいての専門家(建築士)に相談へ行くよりは、自分たち目線のハウスメーカーの営業さんの方が話しやすい、というようなイメージがあるのかもしれません。

もしも、それが理由の1つだとすると、何千万円も掛かる一生に一度になるかもしれない買い物に対して、そのアプローチで本当に良いのでしょうか。

また、話しやすいという理由でハウスメーカーに相談するが本当だとすると、建築士という仕事が世の中の方が伝わっていない、ということも想像が出来ます。

 

建築士とは設計とは

建築士とは「建築士」の有資格者のことを指していて、「設計」「工事監理」「その他を業務」を行う者のことです。
ここで重要な部分は、設計をするのは建築士の仕事だということです。

家づくりにおいて、最初に行うことは設計(又はデザイン)することです。
更に、設計のことをかみ砕いて書くと「お客様からご希望をお聞きして、その本質を理解して、建築の諸条件を考慮し最適解を導き出して、それを図面に表現すること」が設計です。

また、その中でも「ご希望の本質を理解」と「最適解を導き出す」為には、知識と経験とイマジネーションが必要だと思っていて、ここに建築士が持っている専門性の本質があると思っています。

要は、設計(又はデザイン)することの専門家が建築士ですが、建築士でもない又は設計を生業としていない(分かりやすく書くと、車のペーパードライバーのような)建築士の営業さんは、ご相談相手として最適な方でしょうか。

 

設計事務所と工務店の違い

少し話がそれますが、、
先の話ではハウスメーカーのことを書きましたが、同じく建物を造ることを生業とする工務店に相談する場合はどうでしょうか。

多くの工務店の場合は、建築士である会社の社長さん若しくは設計を生業としている建築士がご相談相手になると思いますので、ハウスメーカーのようなことは起こりにくいと思います。

尚、何か注意事項があるとすれば、先にも書いた通り、工務店は建物を造ることが本業だという部分です。
工務店は、自分たちなりに考えた費用対効果の高い方法で、自分たちが目指している家づくりを行っています。
それ自体は悪いことではありませんが、設計の自由度を低くする可能性があります。

言い方を変えると、設計に対しての建築士としての専門性は、設計事務所の方が優れていると思いますので、よりお客様らしい住まいをご希望の場合が、設計事務所に依頼する方が良い結果が得られやすいとは思います。

 

まずは設計事務所に相談する

家づくりの依頼先は、設計事務所、工務店、ハウスメーカーのいずれかになることは多くの方がご存じだと思いますが、この認識が家づくりの本質を見えにくくしています。

家づくりには「設計者」と「施工者」という専門家が必要不可欠ですが、設計の専門家集団が設計事務所であり、施工の専門家集団が工務店です。
ちなみに、ハウスメーカーは「家売り」の専門家だと理解すると、分かりやすいかもしれません。

先にも書きましたが、家づくりは設計から始まります。
まずは、設計しないことにはコトが始まりません。

そのことを踏まえれば「敷居が高い」と敬遠しているよりは、まずは設計事務所に相談へ行かれる方が良いかと思いますが、如何でしょうか。

最終的にどこに依頼するかの判断は、それぞれのご希望や家づくりの考え方、人生設計などで変わってくる為に一概には言えない、というのが答えになってしまいます。

あえて言えば、重要なことは「○○さんが言うならそれがいいです」と思える信頼に足る建築士を見つけることだと思いますので、時間を掛けて依頼先を探して頂きたいと思います。

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