H-KRN-02 基本設計とパッシブハウス認定

投稿者:

プランニング

今回は、年配のご夫婦のために「終の棲家」となる住宅の計画です。
また、ご主人様が要介護(ご自身で歩くことは出来ます)の方ということもあり、その辺りも配慮した計画になります。

計画としては、ご主人様のこともありますので平屋建てになりますが、基本的にはご夫婦お二人の為の住まいになりますので、大きな住宅は必要ありませんし、土地が大きいので平屋建てにすることへの弊害は特になく、プランニングも自由に行える環境です。

唯一配慮することがあるとすれば、南側に幹線道路があることぐらいですが、それなりに距離があるので目線が気になると言ったことはなく、多少音が気になるかもしれない程度のことです。

 

さて、先の条件やN様のご希望をふまえてプランニングをするわけですが、まずは2パターンの簡単なゾーニング案をご提案しまして、プランニングの方向性を探りました。

結果として、玄関から奥に進むにつれて「パブリックエリア→プライベートエリア」となるようなオーソドックスな計画を検討することとなりました。

ちなみに、パブリックエリアとは「リビングやダイニング」等の来客者も使用するエリアで、プライベートエリアとは「主寝室や浴室」等の主に居住者が使用するエリアを指しています。

また、今回は在宅ワークを可能とするエリアを検討する必要がありますが、そのエリアを「空間に変化を与えながら、宿泊されるような来客者へも対応可能」となるように「小上がり和室」をご提案させて頂き、採用することになりました。

 

温熱性能をPHPPとDesignPHで検証する

ひとまずはプランが形になったので、私の経験と勘で温熱に関わる仕様を決めてPHPP(パッシブハウス・プランニング・パッケージ)とDesignPHをざっと入力後、数値を見ながら微調整するという作業を行いました。
結果としては、以下の通り。

気象条件は、昨年完成した「軽井沢モダンバーンパッシブハウス」との違いを感覚的に合わせたかったので「前橋」のデータとしましたが、暖房需要が「24.33kWh/㎡・a」とパッシブハウス基準には届いていない状態です。

とは言え、今回は平屋建てなので条件としては不利側なこともあり、性能としては悪くはありません。

特にパッシブハウスを目指したいとの明確な希望も頂いていなかったので、まずは本内容でN様にはご説明しましたが、開口一番で頂いた言葉は「これはパッシブハウスにはなりますか?」でした。

明確にはお話しを頂いていなかったですが、折角弊社へ設計を依頼するのだから「可能であるならばパッシブハウスにしたい!」との思いをお持ちだったようです。

 

パッシブハウス認定を目指す

軽井沢で平屋のパッシブハウスを目指す、、これは結構大変なことです。

また、現状ではパッシブハウス認定のコンサルをしているメンバーでの内輪の話ですが、、
パッシブハウス認定の軽井沢用気象データを作るとの報告を受けていて、先は「前橋」のデータで検証しましたが、より気象条件の厳しい「軽井沢」で検証する必要がありまして、そのハードルが更に上がります。

何にせよ、検証してみる他方法がないので、パッシブハウスにすべくPHPPでシミュレーションをしてみました。
結果は、以下の通り。

詳細は割愛しますが、断熱材の厚みが鬼です。笑

また、単純に断熱材を厚くするだけでは施工難度や費用が無尽蔵に上がってしまうので、外皮からの熱ロス以外にも換気による熱ロスを減らしたり、日射取得を如何に増やすか?も費用対効果を考える上で重要な部分です。

とりあえず、パッシブハウスとなるような断熱仕様や設備構成はイメージ出来ました。

現状では、二転三転しながらも基本設計が完了して実施設計に入っておりますが、デザインとのバランスを取りながら建物性能(耐久・耐震・温熱)が最適解となるような各詳細部を検証していきたいと思っています。

 

関連記事