◎売買契約編
ここまで「購入の経緯」「資金計画」「物件探し」について書いてきましたが、今回は「売買契約」のお話しです。
契約事の種類に問わず、それらは良くも悪くも緊張感のあることだと思いますが、ましてや高額契約になる住宅関連はそのストレスや不安などがMAXになる出来事かと思います。
また、契約の前には「ここを購入しよう!」という決断の時がどなたにもあるかと思いますが、この決断が今後の住宅計画を左右するといっても過言ではありませんので、契約時以上に重要な局面です。
それでは、今回の目次です。
09.売買契約1-物件を決める
10.売買契約2-融資申込みから金消契約まで
物件を決めることや融資契約をするといった局面は、クライアントの契約事を間近で見てきた建築士の私にとっても緊張感のあることでしたが、建築士の目線も交えながら、私の経験を分かりやすく表現出来れば良いかと思っています。
09.売買契約1-物件を決める
最終的に物件を決める時は、「希望の明確化」と「比較検討できる素材」が必要です。
まず、希望の明確化に関しては、当初描いていたふわっとした希望が現実的なのかそうではないのか、ということが物件を探す・見る毎にだんだんと分かってきます。
要は希望の整理が進んでいくわけですが、最終的に何が一番大事だったのかを見定める作業でもあります。
ここで、現実的ではない希望に固執すると、物件探しを難しくします。
場合によっては、「一生を賃貸で暮らすのか?」という二者択一的な選択を迫られる状況も考えられ、住宅計画そのものを中止するということになりますが、予算的にどう考えても無理というお金の問題以外のことであれば、あきらめずに納得できる物件を探してほしいと思います。
ちなみにそう思う理由は、そうそう住宅を所有するというタイミングが来ない、とプロとして又一個人として住宅計画に関わってきた経験から感じるからですが、そういった観点では(いつタイミングが来るかは分からない)将来に備えて準備しておくことも大事なことだと思います。
次に、比較検討できる材料とは、候補となる物件のことです。
正直にいって、1つや2つ程度内見しただけで物件を決められるものではありません。
少なくても5件以上は内見した方が良いかと思いますし、前回の最後に少し書きましたが、知らない街で物件を探されるのであれば、数回通って散策することをお勧めします。
さて、ここからは候補となる物件の続きを書きながら、私の体験を書きたいと思います。
私の場合は、既に暮らしていた街で物件探しを始めましたが、同時に周辺地域の散策も始めました。
散策してみると、歩いたことのない道がたくさんあることを知るわけですが、ここからだと駅まで○○分だとか、このマンションいいな、など色々と想像もしながら歩くとイメージもわきます。
そんな中で、外観が良いなと思っていたマンションがちょうど売りに出ていることを知り、内見しました。
最寄り駅から10分以内で立地も悪くない場所でしたが、実は既にリノベ済みの物件です。
私は、自身でフルリノベーションしたいので、リノベーションしていない物件を探していたのですが、それがなかなかないことを探し始めてから知ることになりました。
そんな前置きがありながら、まずは見に行かないとイメージもわかないために内見したというわけですが、今後の物件探しのベースとなる良い物件を内見することができました。
その後も、前回書かせて頂いた購入できなかった物件を含めて5件程度の物件を内見しましたが、条件として1つの結論に達しました。
それは、豊島区内で池袋から歩いて帰れる距離にある物件(立地の良さ)、であること。
元々、以前の事務所や自宅も池袋西口から徒歩20分ぐらいの場所だったので、気候や天気の良い日などは歩いて帰ることもありましたので、その部分の便利さは失いたくない、との考えに至りました。
そのような状況の中で、候補物件の1つの販売価格が下がったことに気が付きました。
それは2件目に内見した物件だったのですが、価格(予算オーバー)と大きさ(もう少し狭くても良いと思った)が気になってなんとなく保留にしていました。
しかし、先の立地ということでは、今販売されている物件の中では一番良い、といっても過言ではない物件。
また、外観はレトロな感じが程よく、低層マンションな部分も良いイメージでした。

※実際に購入したマンション外観
私が知る限りでも半年程度は売れていなかったですが、このタイミングで価格変更されるという。
運命とはこのことか(笑)
これは売りたいのもしれない?と考えた私は、少し指値をして交渉に臨んだところ、OKとのこと。
その価格でもまだ(当初考えていた物件購入価格より)予算オーバーしていましたが、リノベ費用の調整や自己資金を入れることも考慮して、購入に踏み切ることにしました。
ちなみに、売れ残っていた理由の1つに、、
・四階(四階建て)の部屋だったが、(エレベーターがなく)階段で昇降する必要があったため
ということがあるそうです。
また、北向きだったことも理由の1つにあるかなと個人的には思いますが、私にとって、階段による四階への昇降に懸念はなく、見晴らしが良くて最高!としか思わないですし(笑)、北向きも安定的な明るさを得るにはちょうど良いと思っていますので、問題は何もありません。
結果だけ見ると、世間の感覚とズレていることが良い物件に巡り合えた理由になったと思います。
10.売買契約2-融資申込みから金消契約まで
物件が決まりましたので、ここからが融資手続きの始まりです。
まずは、資料を一通りそろえて、融資の事前審査を申し込みます。
今回は、住宅計画にかかる費用のほとんどを融資で賄いたいので、以下の資料を用意することになります。
・購入予定物件の情報が分かる資料
・リノベーション工事にかかる工事見積書
・仲介手数料や登記費用を含む諸経費のわかる資料
ちなみに、住宅ローンを依頼する金融機関を取引先から変更しました。
理由は、前回書かせて頂いたことが発覚して以降、住宅ローンを依頼する上で信頼がおけなくなったからですが、私のような立場(会社経営者)に理解のある金融機関を仲介頂いた方にご紹介頂いたことも変更した理由の1つです。
話を一度整理しますが、以前に取引先銀行とのやりとりで融資可能額は何となく把握している状況ですが、物件がないと正式な審査に移行しないので、まだどういった融資になるのかはわかっていない、という状況です。
結果として、掛かる費用の全額融資が難しいことが分かりました。
ここで、購入を中止するのか?という決断に迫られるわけですが、先にも書きましたが、
・リノベーション工事予算の調整や自己資金投入
によって何とかなると判断して、物件の契約にむけて話を進めることにしました。
この段階で、ひとまず融資自体は内定(決定ではない)しましたので、ここからは物件の売買契約から金消契約(売主にお金を支払う)までの流れです。
何も知らないと理解しにくいのですが、土地や中古マンションなどの不動産を購入する場合は、物件の売買契約とお金の支払いが同時には発生せず、売買契約時は手付金のみの支払いになります。
また、その金額に明確な決まりはなく物件価格の5~10%ぐらいが相場のようですが、当事者同士が了承すれば多くも少なくも出来るようです。
さて、売買契約には重要事項説明という場がありまして、契約の前にどういった契約なのかを事前に説明しないといけないことになっています。
これは、設計の委任契約でもあることですが、契約後のトラブルを極力なくすためのルールですね。
このタイミングで、内見では知り得なかった今後の計画で問題になりそうなことがないか、中古マンションに関する資料(調査報告書や管理規約など)を確認します。
基本的には、依頼している仲介者(宅建士)が確認してくれますが、私も一通り目を通しました。
多少気になることがありましたが、計画に問題の出ることではなかったので、中古マンションの売買契約を締結しました。
尚、一般的に考えると中古マンションは契約後に「私の所有物」となりそうですが、ざっくり書くと「売買してもいいよ」というだけの契約です。
この段階で、ようやく正式な融資審査が始まります。
要は、この物件を買うから融資してほしい、という順番ですね。
よって、この審査次第では融資NGなこともあり得るのですが、通常の売買契約では「融資が未承認だった時は契約解除できる」という特約を付けます。
おおよそ2~3週間ぐらいが融資審査の期間となりますが、契約解除日もその辺りに設定されます。
晴れて融資が決定すると、金銭消費貸借契約(金消契約のこと)を金融機関と締結しますが、この契約日が売主に残金(手付金を除いた売買代金)を支払う日であり、物件の引き渡し日になります。
ようやくこれで「私の所有物」と思うとまた少し違いまして(笑)、金銭のやり取り完了後に登記申請を行い、所有権を売主から買主(私)に登記変更する必要がありますが、引渡し自体は完了しているので、物件を使うことは可能になります。
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以上です。
今回は「売買契約編」を書かせて頂きました。
10.売買契約2では、ざっとした流れを書いてみましたが、経験しないと分からないことだらけですね。
私は、建築士という仕事柄、一般の方と比較して不動産売買の知識や経験があるため何とか乗り切れましたが、何も知らない一般の方が不動産売買を進めていくことはなかなかしんどいと思います。
よって、
物件を探す段階から依頼する設計事務所や工務店を決めておき
アドバイスを得られる状況を作っておくことは非常に重要だ
と改めて感じました。
次回、Vol.5では「設計・工事編」を書きたいと思います。
それでは、次回以降も宜しくお願い致します。
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執筆者の代表・丸山は、
★Certified Passive House Designer (パッシブハウスに関する資格)
★住宅医協会認定・住宅医 (改修工事に関する資格)
両資格を有している国内唯一の建築士です。

