M-BLOG 2025.05月号

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プロローグ

桜の季節も終わり、アッと言う間に気温が20℃を超える季節がやってきました。
既に冷房を使っている弊社クライアントもいらっしゃいますが、それはちょっと汗・・・と心の中では思いながら、快適に出来れば省エネで暮らして頂きたい、とお伝えしています。

その方にお話しを伺うと、パッシブな暮らし方の基本、ということが伝わっていないということが分かったりもしまして、いろいろと考えさせられる出来事でもあります。

弊社のクライアントですら高性能住宅の暮らし初期はそんな感じですので、これをパッシブな暮らしに興味のない方に知って頂くことのハードルを思い知りますが、コツコツと努力する他ありません。

それでは、今号の目次です。
1.7年目の「木と樹の家」
2.「練馬の家」完成写真から思うこと
3.「昭島の家」着工

今回は、過去から現在までの弊社で設計された住宅のお話しです。
これまでのクライアントとも良いお付き合いをさせて頂きまして、大変有難いことです。
仮)aama友の会と通してより多くのクライアントと良い関係が気づければと思いますが、そのお話しは次回以降にご報告出来ればと思います。

 

1.7年目の「木と樹の家」

建物のお引渡しから7月で丸7年になります「木と樹の家」ですが、少し前から屋上の外壁(杉無垢板ドイツ下見張り)とウッドデッキの一部が痛んできたので修繕したいとのご相談を受けていました。

ちなみに、木と樹の家は雑誌のビルダーズが主催するエコハウス大賞で優秀賞を頂いた住宅です。
今現在でも高性能と言える断熱性能(UA値0.24)を有している住宅で、日射取得・遮蔽への対策もきちんと行いながら暖冷房需要をシミュレーションしていますが、私はこれを「現代版パッシブデザイン手法」と呼んでいます。

さて、住宅のメンテナンス性を考える場合、なるべく手間の掛からない(メンテナンス周期が長いともいえる)材料を選択する方法、若しくは、自然素材を使い経年変化を楽しみながら傷んできた部分のみを修繕する方法の2択かと思っていますが、この住宅は後者の経年変化を楽しむ方法を選択されました。

その自然素材の場合は、材料の品質等に均一性が無いのがデメリットで、同じような条件下でも問題ない材料と悪くなる材料が出てきますが、工業製品と違って材料そのものがなくなることはありませんので、傷んできた箇所のみを変更することが可能です。

よって、今回も傷んできた箇所のみを交換することにしました。

木材を長持ちさせるにはなるべく乾燥状態を保つことが重要ですが、今回の場合は、北側部分の乾燥が十分でなかったこともあり、痛みの進行が他の部分よりも早い傾向にありました。

これは、周辺環境や建物計画上で致し方ない部分もありますが、今後は乾燥に気を遣いながらお住まい頂くことも材料を長持ちさせる1つの方法かなと思います。

話しが変わって、木と樹の家といえば、外構の緑化が特徴的です。
以前のエムブロや私のインスタなどでも時折アップしているのですが、7年前とは比較にならないぐらい緑が生い茂っていまして、設計当初話していていました「緑の小道を歩きながら家に帰りたい」ということが現実のものとなりました。

クライアント自身が植栽のメンテナンスを行っていますが、自由奔放に育っている感じが何とも良いですね。

※2018.07


※2025.04

 

2.「練馬の家」完成写真から思うこと

前号では私が撮影しました写真をアップしましたが、プロカメラマンに撮影頂きました写真がちょうど届きましたので、改めて写真をアップしておきたいと思います。

ちなみに、私がプロカメラマンに撮影を依頼する時は、撮って欲しい画角などをほとんど指定しません。
理由は「あまり指定してしまうと、折角依頼しているカメラマンの良さが出ない」と思っているからですが、これは設計事務所に家づくりを依頼されるクライアントにも言えることだと思っています。

設計事務所に依頼される場合は「核となる希望のみをお伝えして、あとはお任せ」といった進め方のほうが、クライアントが想像もしていなかった住宅が出来ると思います。
言い方を変えると、単に自分の想像している・希望している住宅を造りたい場合は、工務店やハウスメーカーの方が合っていると思います。

これは、どちらが良い・悪いではなく、どういった住宅に住みたいのか?といった選択のお話しです。
この選択を間違えると、お互い悪いことをしているわけでもないのに「揉める」ということが起こり得ますので、よくよくクライアント自身がどういった家づくりをされたいのかを考えることが重要です。

それでは、そんな思いで撮影頂いた写真をアップ致します。

※外構はこれからです


※撮影/ARCREC株式会社 東涌宏和

 

3.「昭島の家」着工

以前のエムブロでもご紹介しましたが、設計中でした昭島の家が2月下旬に着工しました。

昭島の家は、音楽関係のお仕事をされるご夫婦のために設計された住宅です。
概要としては、在来木造2階建ての28坪程度の大きさで、2階LDKの間取りとなっています。

2階LDKの場合は、年を取った時に階段の昇り降りが心配、といったことをよく言われるのですが、そもそもそのご心配をされるのであれば、平屋を建てる方が現実的で合理的です。

しかし、(土地の広さなどの条件もあり)実情として2階建てにせざるを得ないのであれば、その心配は現時点では考えない方が良い、というのが私の考えです。

そう考える理由はいくつかありますが、1つは、将来のことは誰にも分からない、ということです。
もしも、将来の足腰が心配であれば、運動などをして将来に備える方が前向きで建設的ですし、日常的に階段の昇り降りをしていれば、病気にでもならない限りは、生活する上で困るほど足腰が弱くなることもないと思っています。

2つ目として、2階LDKには以下のようなメリットがあることです。
・構造設計的に広い空間が取りやすい
・隣地や道路からの視線を気にしないで生活が出来る

いずれにしても、どのような計画・プランにしてもメリット・デメリットは存在していると思いますので、設計者とクライアントが良く話し合って決めていけると良いかと思います。

最後に、本計画はパッシブハウス認定を目指して設計されました。
昭島市では初めてのパッシブハウスになる予定ですが、また工事が進みましたら進捗をお知らせ出来ればと思います。

―――――

以上です。
今号もご愛読ありがとうございました。
次号以降も宜しくお願い致します。

ArchiAtelierMA株式会社
代表取締役 丸山晃寿

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