M-BLOG 2025.03月号

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プロローグ

今年から始めたM-BLOGですが、3回目の投稿となります。
段々と形が出来てきたと思いますが、引き続きお付き合い頂ければ幸いです。
それでは、今号の目次です。
1.完成見学会のご案内
2.意匠系設計事務所って何?
3.住まい手の声002-House-KH編

前回より始めました不定期投稿の「住まい手の声」ですが、住まい手にご協力頂けまして、今号も投稿出来ることとなりました。
これから、家づくりをされる皆様のご参考になればと思います。

また、仮)aama友の会は最終的にどんな形が良いのか思案中で、ひとまず、会合的なことを一度開催出来ればと思っておりますが、何か進展がありましたら、次号以降でお伝え出来ればと思います。

 

1.完成見学会のご案内

前号よりお伝えしておりますが、お客様のご厚意により、現在工事中のHouse-NOで完成見学会を実施することになりました。
開催日時は、「3月29日(土)AM及び3月30日(日)AM」です。
完全予約制の一般向け見学会となっておりますので、プロの方はご遠慮頂ければと思います。
詳しくは、弊社HPのEVENT欄をご確認頂ければと思います。
→ ArchiAtelierMA|東京都豊島区のパッシブハウス設計
また、インスタでも情報を発信しておりますので、宜しければフォロー等して頂ければ幸いです。
・アカウント:@akhsm8465

以下、ご参考までに建物概要です。
東京都内でパッシブハウス認定を目指しています。
内外部仕上げ材は自然素材を積極採用しておりまして、、
・外部仕上げ材/飫肥杉ファサードラタン・柿渋系塗料仕上、スーパー白洲そとん壁・かき落とし
・内部仕上げ材/壁・天井:パーシモンEウォール左官仕上、床:北海道産ナラ無垢フローリング
にて、仕上げ工事進行中です。
その他、クライアントの希望であるオーダーキッチンや造り付家具、パッシブハウス認定に不可欠なダクト式第1種熱交換換気システム(今回は全館空調システム)など、見どころはたくさんあるかと思います。

いずれにしても、東京都23区内ではなかなか見学が出来ないパッシブハウス認定を目指す性能を有する住宅ですので、まずはご体感頂きたいというのが設計者である私の思いです。

 

2.意匠系設計事務所って何?

とある投稿で、自身のことを意匠系設計事務所と名乗っている方を見たのですが、その方は私が思っているそれとは違う印象でしたので、そのことに少し違和感を覚えました。

そこで「意匠系設計事務所」という言葉を手始めにして、そもそも「設計事務所とは、建築士とは何か」ということについて、私なりの考え・思いを書いていこうと思います。

まず、私が認識している意匠系設計事務所とは、意匠(以下、デザインも同意)のことしか考えないで建築設計をする設計事務所のことで、今では少なくなっていると思いますが、有名建築家に住宅設計を依頼したが「雨漏りして大変」とか「冬に光熱費が掛かりすぎて大変」など意匠のことしか考えないで設計する方々です。

ちなみに、それ以外、例えば、冬暖かく夏涼しいなど温熱環境設計が得意な方々を「温熱系設計事務所」とは言わないですし聞いたことがないので、意匠系のみが存在している呼称だと思います。
これらを踏まえると、「意匠系」とは何かを揶揄して言われていた可能性が高い気がしまして、私個人としても、意匠しか出来ない・考えない設計事務所(以下、建築士も同意)のことを意匠系と呼称していると思っています。

この意匠しか出来ない建築士を建築士と呼ぶのか?ということに以前より猛烈に違和感を持っていまして、私個人としては、デザインしか考えないのであれば、それは単に「デザイナー」だと思っています。
私は、自身をデザイナーではなくアーキテクト(建築士)だと思っていますしそう名乗りたいと思っていますので、意匠だけではなく、耐久性や耐震性、温熱性能のことも考慮して住宅設計に取り組んでいます。

反対に、意匠系ではない設計事務所が意匠のことを考えないのか?と言えば、そうではありません。
多くの設計事務所は、意匠性の高い所謂カッコイイ建築を設計したいと思っています。
但し、意匠・デザインは、耐久性や耐震性などと比較して個人の好みやセンスが出やすい分野ではありますので、他の建築要素と区別する必要性はあるのかもしれません。

本来であれば、アーキテクトとして必要最低限の設計が出来る上で、自身の得意分野を表現する方法として、「意匠系」や「温熱系」などの言葉がある状況が好ましいと思います。

最後に、話しが最初に戻りますが、私が違和感を持った初めの意匠系設計事務所は、構造も温熱も考えている方でしたので、私が思っていた意匠系とは違うなあと思った次第です。
なので、ひょっとすると、自身の得意(設計上、重きを置いている)分野を表現する手段として、意図的に意匠系という言葉を使った可能性もありますが、裏を考え出すとキリがありません(笑)

いずれにしても、建築士自身も言葉のみで全てを表現出来るわけではありませんので、家づくりを検討される一般の方々は、本質を見抜く力も必要なのかもしれません。

 

3.住まい手の声002-House-KH編

・物件名/木と樹の家(2018.07竣工)
・所在地/東京都文京区
・規模等/RC造地下・在来木造2階建て(PH付)、延床面積130㎡
・仕上等/外壁:杉板ドイツ下見張、内装:デュプロン(イケダCorp.)、ヨーロピアンオーク無垢フローリング
・開口部/窓:木製防火窓・夢まど、日射遮蔽部材:外付けブラインド・ヴァレーマ
・空調等/全館空調システム(ダイキンアメニティ+全熱交換型ダクト式第一種換気)
・性能値/Ua値0.24、C値0.1(漏気回数0.45回)

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丸山氏との出会いはパッシブハウスを日本で展開している、キーアーキテクツ様からご紹介していただいた事から始まりました。
当初はキーアーキテクツ様で設計を考えていましたが、紹介された実績や場所、時期等を考慮して丸山氏に設計を依頼することに決めました。

結果としてとても良い家が完成でき、キーアーキテクツ様並びに丸山氏にはとても感謝しています。
その中で丸山氏に設計した際及び住み心地についてまとめました。
これがパッシブハウスの普及につなげられれば良いと思います。

1.設計段階
施主としては明確な希望を持っておりましたが、丸山氏にはそれを否定などせずプロとしての最適な提案を頂くことが出来、それを考慮して決めることが出来ました。また当方は植栽にゴバイミドリを指名しましたが、丸山氏自ら調べていただきそれを取り入れてくれたエピソードがあります。
それらを含めて丸山氏は施主の意見等を柔軟に取り入れ、プロとしてのアドバイスをいただけた事が、とても信頼できると感じました。一般的に建築家に設計を頼む場合何らかのこだわりがあることが多いかと思いますが、丸山氏はそれらに十分に応えられると感じましたし、それがとても良い点だと思います。

2.温熱環境
6年ほど住んでいますが、温熱環境に関する心配がありません。
特に良い点は、室内で風を感じないことです。いつも快適に暮らせます。
今までに自宅以上の良い温熱環境に会ったことがありません(パッシブハウスを除く)。自宅が最高の環境です。

3.住まいの使い勝手
丸山氏は設計の際に作りこみすぎないほうが良い、後で変更ができないところはあまり妥協しないほうが良いといわれておりましたが、何年か住んでみてそれを実感しています。
社会環境は住み始めてから大きく変わりましたが、それに対応しやすいかと思います。

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「自宅が最高の環境です。」は、設計者にとって最高の誉め言葉の1つではないでしょうか。

住まい手も書かれていますが、元々はPHJ代表理事・森氏の事務所であるキーアーキテクツのお客様でしたが、当時、パッシブタウン第3期街区という富山県の案件をお手伝いしていたなど色々と縁がありまして、弊社をご紹介頂いて設計することとなりました。

そんなHouse-KHは「弊社の設計スタイルの礎となっている」いっても過言ではないとても意味のある案件で、例えば「今設計したら、提案等が変わるのか?」と問われても、大きく変わることはないだろうな、と自分自身で思えることがその理由の1つですね。

今でも思いますが、森氏に依頼しようと思っていたことをさほど実績もない弊社にご変更頂くことは、それなりのご覚悟が必要だったと思いますので、その機会を頂いた住まい手には大変感謝しております。
また、本案件は「日本エコハウス大賞2018・優秀賞」を受賞しておりますが、キーアーキテクツから引き継いだ案件を住宅コンテスト受賞に導けて、弊社に機会をくれた森氏に対しても「役目は果たしました」と顔向け出来る結果になったかと思います。

House-KHは、弊社に設計を依頼された殆どの方が見学している案件で、ご自宅にお伺いする際は、植栽(ゴバイミドリ施工)の成長具合を見ることが楽しみでもあるそんな住宅で、完成後もご協力頂いて大変助かっています。

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以上です。
今号もご愛読ありがとうございました。
次号以降も宜しくお願い致します。

ArchiAtelierMA株式会社
代表取締役 丸山晃寿

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