M-BLOG 2025.10月号

投稿者:

プロローグ

ようやく暑さが落ち着いて、秋らしい温度感になってきましたね。
今年は、関東に上陸するような台風もなかったと思いますので、比較的落ち着いた秋という感じでしょうか。

以前のM-BLOGでも書きましたが、私は今年7月にフルリノベした中古マンションに引越しましたが、ここ1週間の室内平均温湿度は「25.9℃/60.4%」でした。
外気温が下がってきたので自ずと室温も下がってきましたが、反対に湿度は上がっています。
(絶対湿度が同じであれば)温度が下がると相対湿度は上がるのですが、エアコンの稼働時間が減っている為に潜熱処理される時間も減っている方が大きいかなとは思っています。

いずれにしても、快適な温湿度感で過ごせていますので、今のところは満足しています。

それでは、今号の目次です。
1.「三原の家」設計中01
2.続・住宅リテラシーについて

三原の家は、先月、設計監理契約を締結頂きました広島県での住宅建築案件です。
住宅リテラシーについては、前号の続きを書きました。
その他、詳しくは本文をご覧頂ければと思います。

 

1.「三原の家」設計中01

三原の家のクライアントと初めてお会いしたのは、一年半以上前になります。
現在は東京にお住まいですが、地元の北海道に近い気候の場所に移住したい、とのことで相談を受けました。

お会いして比較的早い段階で意気投合したように思いますが、家づくりだけではなく色々な考え方が近いクライアントというイメージでしょうか。

当初は、長野県のある地域で土地探しを始めまして、私も土地探しに同行するなどお手伝いをしていましたが、なかなかクライアントがビビッと来るような土地がなかったようで、暫くすると連絡すら途絶えました。

もう他の設計事務所に依頼することにしたのか、そもそも案件ごとなくなったのかなどと想像していたのですが、半年ほど経ったある日に突然ご連絡を頂きまして、場所を広島県に変えたと。。
なかなか驚くべき展開ですが(笑)、、
移住先の地域でコミュニティを作りたいクライアントのための住宅を設計することになりました。

計画地は、広島県三原市という瀬戸内海に面した場所で、サイクリングで有名なしまなみ海道にもほど近いエリアになります。

海を一望出来るような土地を探していたのですが、そういった土地はなかなか売りにも出ておらず。
最終的には、山間ながら海が見える、そんな土地を購入されました。

土地がそれなりに大きいためにプランは如何様にもなるのですが、逆に方向性を決めるのが難しいとも言えます。
まずは、ボリューム感から見てもらおうと思いプランを考え始めたのですが、海の見える東側が開けていて日射を取りたい南側に山があるという環境なので、大きさ以前の要因でプランの方向性が見えません。

そこで、日陰の影響を先に知ろうと思い立ちまして、周辺環境をSketchUpで3Dモデル化することにしました。
これまでもGooglemapを取り込んで解析していましたが、今回は国土地理院から入手できる「数値標高モデル」というデータを利用して作成してみました。

初めての試みで四苦八苦しましたが、建築仲間からアドバイスも頂き、何とか初期検討には申し分ないモデルが出来ました。
ひとまず、3Dモデルと初期プランで次回打合せに臨みたいと思います。

 

2.続・住宅リテラシーについて

前回のブログで「折角見つけたパートナーと上手く付き合えないことは、住宅リテラシーが低いことの1つだと思っている」と書きました。

それは、プロ側から最近よく聞く話しである、、
・何でもかんでも自分の考えを押し通すようなクライアントに困っている
という問題に通じていることだと、私は思っています。

ここでリテラシーについて、再度確認しますが、、
・その分野に関する十分な知識や情報を収集し、かつ有効活用できる能力
とWEB辞典では説明されていますが、今回は「有効活用できる能力」に着目して私の考えを書いてみようと思います。

始めに、先の説明にある有効活用は、得た知識や情報を「自分自身で」有効活用する、ということが本来の意味だと思いますが、住宅に関しては少し違う捉え方をした方が良いと思っていて、結論を先に書きますが、
自分が得た知識や情報から導き出し探し当てたプロ(要は、依頼する設計事務所や工務店)を有効活用する
が住宅建築においての有効活用できる能力だと私は考えています。

ここで勘違いしてはいけないことが、
優秀なプロ(要は、建築士)だから、自分の考えを押し通して実現してもらおう
が有効活用ではないということです。

確かに、家づくりは住まい手の希望や夢を実現するわけですから、皆様の考えを押し通したい場面もあろうかと思いますが、その考えに住宅建築としての整合性や合理性がないようであれば、本来それはプロ側の意見を聞く・参考にする場面であると思います。

しかし、希望や夢を楯に整合性や合理性のない考えを押し通すことは、プロ側からは単にわがままを言っている風にしか思えない、ということは認識していた方が良いかと思います。
正直言いまして、住宅建築において、クライアントのわがままにメリットは殆どないと思います。

前回も書きましたが、住宅建築の世界は一般の方が思っている以上に果てしなく広く深いです。
よって、皆様の希望や夢を実現させる為には様々な観点からの検討が必要ですが、希望や夢を押し通すことはその検討をしない・拒否することと同意です。

それでは、私が考える優秀な建築士の有効活用とはどういったことかといえば、
希望や夢の大枠はお伝えして、あとはお任せする
ことです。
それが、建築士の知識や技術が一番発揮されやすく、建築士が優秀であればあるほど顕著です。
皆様が選んだ建築士は優秀な方ではないのですか?

住宅リテラシーが高いことは、本来ご自身が考えることと建築士が考えないといけないことを正しく理解することだとも言えます。
建築士が考えるべき部分は信頼してお任せすることが良い家づくりの近道だと思いますが、皆様如何でしょうか。

―――――

以上です。
今号もご愛読ありがとうございました。
次号以降も宜しくお願い致します。

ArchiAtelierMA株式会社
代表取締役 丸山晃寿

 

関連記事

  • M-BLOG 2025.09月号M-BLOG 2025.09月号 プロローグ まだまだ、暑い日が続いていますね。 少し外を歩くだけで汗が止ま […]
  • M-BLOG 2025.07月号M-BLOG 2025.07月号 プロローグ 関東を含めて多くの地域で7月上旬には梅雨が明けるのでは?と言われ […]
  • M-BLOG 2025.08月号M-BLOG 2025.08月号 プロローグ 暑い日が続いていますね。 体感では、既にお盆が過ぎて9月の台風 […]
  • M-BLOG 2025.05月号M-BLOG 2025.05月号 プロローグ 桜の季節も終わり、アッと言う間に気温が20℃を超える季節がやって […]
  • M-BLOG 2025.06月号M-BLOG 2025.06月号 プロローグ 本年も6月を迎えて、あっという間に半年が過ぎようとしています。 […]
  • M-BLOG 2025.01月号M-BLOG 2025.01月号 初めに 新年あけましておめでとうございます。 いい気分で新年を迎えたか […]