中古マンションリノベBLOG Vol.1

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0.プロローグ

以前より数回ご報告しておりますが、
この度、住居兼事務所として中古マンションを購入してフルリノベした場所に事務所を移転しました。

私自身、初めてのマンション購入で色々と分からないこともありましたが、建築業界で仕事をしていることが活きまして、トラブルがありながらも様々な方にご協力頂けまして、無事に計画を進めることが出来たと思います。

そんな今回のプロジェクトで思った率直な感想が、、
・一般施主が家を造るということは大変なことだ
・プロが自宅を作ることもそれはそれで大変だ
ということ。
要するに施主の立場として、誰がやってもその方なりに大変なことだ、ということを改めて認識しました。

今回は、「マンションであること」と「旧住所から近場での計画だったこと」が幸いして、大変ながらもやり遂げることが出来たと思いますが、これが戸建住宅や遠方だとすれば、その大変さは想像したくありません。

これを契機に、クライアントが住宅建築そのものを楽しめるように、これまで以上に寄り添う姿勢で仕事に従事したいと思っていますので、今後ともArchiAtelierMA株式会社を宜しくお願い致します。

さて、前置きはこの程度にしまして、本題に入ります。
今回の「中古マンションリノベBLOG」では、プロジェクト全体のことを数回に分けて書きたいと思っていますが、今回はその第1弾として「何故、中古マンションを選択したのか」編を書きたいと思いますが、以下が今回の目次です。
1.サステナブルを考える
2.住みたい住宅がない
3.40代50代だからできる家づくり

簡単に書くと「50代になった私が考える住まいとは?」という内容です。
特に、私のようなシングル及びディンクス(以下、おひとり様)の方々に読んで頂きたいと思っておりますが、中古マンションリノベを計画している多くの方のご参考になれば幸いです。

 

1.サステナブルを考える

サステナブルとは「持続可能な」という意味で、これからの社会の在り方・考え方として使われている言葉です。
昨今では、至る所でこの言葉は使われていますので、知らない方の方が少なくなってきたと思いますが、ここで本題にしている「住宅」に関しても社会の一部ですから、建築のプロでも一般施主でもサステナブルを意識して住宅建築に臨むべき(又は住宅を選択すべき)、だと個人的には思っています。

そんな背景がある中で、普段、仕事をする上で私が思うこれからの住宅は、、
・(新築であれば)サステナブルでパッシブな住宅以外はあり得ない
との考えで、もしもそれが叶わないのであれば、
・今あるもの(中古住宅)を如何に利用して、サステナブルに貢献できるか
という選択肢になると思っています。

今回に関しては「中古住宅を利用する」という方法を選択したわけですが、「サステナブル社会の実現」のような社会的意義だけで物事を考えるのもなかなか大変なことです。

私自身は、仕事を通してサステナブルという考え方に触れる機会が多いので、そのハードルは一般施主よりは低い様に思いますが、そんな私もそれだけで中古マンションリノベを選択したわけではないので、次の章ではそのことについて少し書きたいと思います。

 

2.住みたい住宅がない

「住まい」には大きく分けて「持ち家」と「賃貸住宅」の二種類が存在します。
どちらが良いといった話ではなく、基本的には住まい手の状況によって選択されることだと思います。

私自身は、今回の計画を始めるまでは、一般的な賃貸住宅に住んでいました。
具体的に書くと、大手鉄骨系ハウスメーカーで建築された賃貸住宅で、壁と天井はビニールクロス貼り、床は複合フローリングというよくある仕様です。

その他、新築物件だったため最低限の断熱性能はありまして、夏や冬はエアコンを入れっぱなしにすれば温度環境としてはそこそこ快適に暮らせましたが、それなりの光熱費を払いながら夏はクローゼット内がカビる、という状況でした。

CMをバンバン流している大手ハウスメーカーがこの有様ですから、世の中にある賃貸住宅が如何に劣悪な住まいであることが分かると思います。

これが、私が中古マンションを購入しようと思った理由につながるのですが、率直に言って、
今の世の中に私が住みたいと思える賃貸住宅が1つもありません。

これは、私がプロだから思うのでは?といった意見も聞かれそうですが、私自身が特別な感覚を持っているとも思いませんので、同じような感覚をお持ちの方々は意外と多いのではないかと想像しています。

尚、最近では、環境に配慮した高性能賃貸住宅が少ないながらに存在しており、例えば、私が以前に関わった富山県黒部市のパッシブタウン第3期は、住みたい賃貸住宅の1つです。
しかし、黒部はなかなかの遠方でして(笑)、私の生活圏では存在しないといった状況でしょうか。

少し話が脱線しましたが、要は、私自身は住まいの快適性・居心地に重きを置きたいので、
・快適な賃貸住宅がないのであれば、自分で造るしかない
という結論に至りまして、持ち家に対する思いはさほどなかったのですが、今回は住みたい住まいを得るという目標の下に中古マンションリノベを目指すことになりました。

 

3.40代50代だからできる家づくり

先にも書きましたが、持ち家に対する思いは殆どありませんでした。

その大きな理由の1つは、子供がいないために住宅を資産として残す必要がなく、手軽に引越しが出来たり自身でのメンテナンスが必要ない賃貸住宅を選択していました。

また、家を造るということは、その場所・地域で暮らしていくという覚悟みたいなことも必要だと思いますが、特定の場所でそういった思いを持てなかったことも理由の1つだったと思います。

しかし、私を含めて多くの方が年齢も40代50代になると自分自身のことが色々と分かってきますし、今後の働き方といったことも20代30代の頃よりは明確になっているのでないでしょうか。

私自身も30代の頃は、軽井沢で暮らしたい、といった夢・想いをもっていました。
以前、仕事で軽井沢に行く機会が非常に多くなった時期もありまして、私がその気になりさえすれば、軽井沢暮らしも実現したように思いますが、結果としてその選択はしなかったことになります。

要は、人それぞれに人生の分岐点的なことが存在して、私の場合はそれが50代で来たことになりますが、おひとり様の場合は子供がいる家庭をお持ちの方と比較して、分岐点が遅めに来るように感じます。

さて、いずれにしても私にも分岐点が来て、住宅建築(持ち家)に舵を切ったわけですが、そんな私が中古マンションを選択した主な理由は以下です。
1)資産として住宅を残す必要がないので「私が死ぬと同時に住宅も朽ち果てる」で構わない
2)ひとり暮らしなので、大きな住宅は必要ない
3) 手頃な価格で購入が可能

まず1)について、
これは別の意味で「資産として不要なために持ち家の必要性がない」と感じるおひとり様が住宅購入を控える理由にもなり得ますが、住宅ローンにしても家賃にしても同じような金額を払い続けるならば、資産となり得る自己所有の方が良いのでは、というのが現在の私の考えです。

ただ、その視点に立ったとしても、必要以上に資産となり得る必要もないので「資産としての価値が目減りしているが、自分が存在している間は資産として価値が残っている」という築年数(建物の状態)がベストかなと思います。

それと、資産の話になると、自己所有と賃貸でどちらがお得なの?的な話題になりますが、私が一番解決したいことは「住みたい賃貸住宅がない」ということで経済性の話ではありません。
よって、経済性はさほど気にしていないのですが、(気にしていないのに)最終的に自分のものになるなら御の字、という感じでしょうか。

次に2)について、
趣味の部屋を持ちたいなど人それぞれに最適な広さはあろうかと思いますが、さすがに4人家族が暮らすような30坪(100平米ぐらい)といった広さは不要だと思います。

また、私の仕事上での方針として、
家が広くなればなるほど日々の掃除やメンテナンスが大変になるだけですし、必要かどうかも分からない荷物が増えるだけなので、必要以上に大きな家を推奨していないこともそのように思う理由ではあります。

それらを踏まえまして、ここでは35~60平米(10~18坪)がおひとりさま暮らしをするために必要な広さと想定していますが、この規模であれば一戸建てよりマンションの方がより経済的です。

また、これはDIYの好き嫌いにも寄るのですが、メンテナンスは積立金から組合がやってくれるマンションの方が(私は)楽なので、50代から先を考えた時はメリットになり得ると思います。

最後に3)について、
当たり前の話ですが、新築と比較して中古の方が価格は安いです。
1) の話にも通ずることですが、資産としては不要ですから初期投資は少ないに越したことはありません。

また、コロナ以降の物価上昇は半端なく、(2025.08現在)未だに上がり続けている印象ですが、中古マンションをみていると、新築ほど価格が上がっている印象はありません。

それと、ちょっと話がそれますが、新築と比較して中古マンションは立地が良い(駅に近いとか)ことが多いので、資産性より生活環境を優先したい方にもお勧めだと思います。

―――――

以上です。
今回は「何故、中古マンションを選択したのか」編を書かせて頂きました。
私が今回のプロジェクトを始めた大きな動機は「住みたい賃貸住宅がない」ことです。
まあ、賃貸住宅でも「その住まいなりに快適に暮らせるように工夫する」という選択肢もあるかと思いますが、自由度や(やりたいことの)実現性は持ち家の方が高いです。

また何より、抜本的な温熱環境の向上が望めることは、(現状では)賃貸住宅に住み続けることでは出来ないことです。

人それぞれに優先順位はあろうかと思いますが、住まいという観点では、快適性や居心地の良さが重要なことだと思いますので、多くの方にそういった住まい環境を目指して欲しいと思います。

次回、Vol.2では「資金計画」編を書きたいと思います。
それでは、次回以降も宜しくお願い致します。

ArchiAtelierMA株式会社
代表取締役 丸山晃寿

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