パッシブハウスで暮らそう
「パッシブハウスの何がそんなに良いのか?」
例えば、エネルギーシミュレーションによって各性能の数値的根拠を示せることはその良さの1つですが、居心地の良さ・暮らしやすさについても素晴らしいモノがあります。
しかし、居心地の良さなどはいくら説明を受けたところで簡単に理解できることではなく、実際にパッシブハウスをご体感頂く他分からないというのが正直な説明になります。
そういうことでは、私自身はパッシブハウスでは暮らしていないために「暮らしの体感」ということでのご説明は難しいところがありますが、それでも多くのパッシブハウスを体感してその良さは理解しています。
また、パッシブハウスの見学にご参加された方の感想や実際にパッシブハウスで暮らされているクライアントや住まい手さんのお話しをお聞きする限り、その居心地の良さや暮らしやすさに異論はないと思っています。
今現在でも、家は寒くて暑いものだと思われている方が多いですが、実際は「冷暖房エネルギーなどのランニングコストを気にしないで、省エネで健康的で快適な暮らしが出来る」時代に進んでいます。
なので、これから住宅を建築される(改修でもパッシブハウスは可能です)のであれば、一緒に住まわれるご家族のためにも是非パッシブハウスを目指して頂いて、居心地の良さ・暮らしやすさを体感して欲しいと思います。
尚、パッシブハウスは誰にでも開かれている建築コンセプトではありますが、これまでの住宅設計とは比較の出来ないほど高度な知識と経験が必要ですので、誰しもがその設計・施工が出来るわけでありません。
そういったことでは、弊社代表はパッシブハウスの設計及びコンサルタントの経験者として国際資格である「Certified Passive House Designer」という資格を得ていますので、安心してご相談頂ければと思います。
また、設計事務所や工務店へのコンサルティングも行っておりますので、依頼されるプロの知識や経験にご不安のあるエンドユーザーの方からのご相談も受けておりますので、お気軽にご相談頂ければと思います。
パッシブハウスとは
ところで、パッシブハウスってご存知でしょうか。
「パッシブ」とは直訳すると「受動的」という意味になりますが、「パッシブ」を用いた建築用語はパッシブハウスに始まり、パッシブデザインやパッシブ設計、パッシブソーラーなど色々な言葉が存在しており、エンドユーザーの方々には非常に分かりづらく正しく理解されている方は非常に少数であると感じています。
そこで、パッシブハウスを初めて耳にする方のために、少しパッシブハウスについてご説明させて頂きます。
パッシブハウスとは、環境先進国ドイツにあるパッシブハウス研究所が提唱しているメソッドで建築された省エネ建築物(住宅に限っておらず、全ての建築物に適応可能)のことです。
パッシブハウスにする為には、建築コスト(イニシャルコスト)とエネルギーコスト(ランニングコスト)のバランスを考えて導き出した厳しい基準をクリアする必要がありますが、パッシブハウスにすることで「エネルギー効率の良い、快適で、経済的で、環境にやさしい建築物」にすることが可能となります。
パッシブハウスのことをハウスメーカーの1つのように勘違いされている方が時々いらっしゃいますが、パッシブハウスは「特定の施工・材料を強要する建築方法」でも「建築商品のブランド名」でもありません。
パッシブハウスとは、誰にでも開かれている建築のコンセプトでありメソッドです。
また、「ヨーロッパで考えられたメソッドなので、気候の違う日本には合わない」といったネガティブな声を聞くこともありますが、各地域の気象データ(温湿度や日射量など)を活用してエネルギーシミュレーションを行っていますので、どの国や地域でも適応可能です。
尚、パッシブハウスを名乗るためには、先の基準をクリアしていることを証明して認定される必要があります。
日本では、一般社団法人パッシブハウスジャパンが認定の窓口になりますが、パッシブハウスとは「認定パッシブハウス」のことを指していますので、パッシブハウスの呼称を利用した広告等にはご注意頂ければと思います。
その他詳しくは、独パッシブハウス研究所又はパッシブハウスジャパンのHP をご参照頂ければと思います。
パッシブハウスの設計手法
パッシブハウスの基本は、パッシブデザイン手法できめ細やかな設計をするところにありますが、それはこれまでのような建築士の経験や感覚などといった曖昧な基準に頼ったことではなく、エネルギーシミュレーションソフトによって要素をきちんと定量化して比較検討する、いわゆる「現代版パッシブデザイン手法」です。
パッシブハウスは、その現代版パッシブデザイン手法を活用しながら暖房需要と冷房需要(以下、暖冷房需要)を検証しますが、それらを簡単にご説明しますと「暖房や冷房に必要なエネルギー量」のことを指しています。
また、パッシブハウスは使用できる暖冷房需要の上限が決まっていますが、以下の条件もあります。
・冬の場合、室温20℃を保つこと
・夏の場合、室温25℃・絶対湿度12g/kg(相対湿度60%程度)を保つこと
要は、その室温や湿度を保つためになるべくエネルギーを使わない方法を検討する必要があるということです。
したがって、日本の基準のように断熱性能を考えるだけでは不十分で、日射取得や日射遮蔽といった屋内環境に大きな影響を与える要素はもちろんのこと、換気による熱負荷や気密性能、熱橋(納まり上の熱の逃げやすい部位のこと)などもきちんとシミュレーションによって定量化して検討することが重要です。
この暖冷房需要を検証するためのシミュレーションをしていることが、パッシブハウスとこれまでの住宅建築との最大の違いだと思いますが、パッシブハウスが誕生してから30 年以上の月日の間もシミュレーションと完成建築物の検証を繰り返していて、その精度が高いこともパッシブハウスが優れていることの1つです。
ここではパッシブハウスの全てをご説明できませんが、ここまでのようにきめ細やかに様々な要素を定量化できることに設計者として魅力を感じるわけですが、住宅建築に必要なモノ・コトを学んでいくうちに(温熱性能について)たどり着いた答えがパッシブハウスなだけで、正直なところ特別なことをしているとは思っていません。
住宅設計は、断熱等の性能のみで快適性や住み心地が決まるわけではありませんが、それはパッシブハウスのようなシミュレーションをしなくて良いことにはなりません。
・シミュレーションによる裏付けをとりながら、クライアントの感覚的な希望も取り入れていく
そんな形がこれからの家づくりだと思いますが、皆さま如何でしょうか。
年配のご夫婦が移住先である寒冷地・軽井沢の地で、省エネで快適に健康的な暮らしを実現するために終の棲家として計画された平屋建て住宅である。
外壁の杉材や内部仕上げの和紙、柿渋塗料などの自然素材によって日本らしさを感じられるジャパニーズモダン(現代的和風)テイストでデザインされている。
東京にお住いのご夫婦が移住も見据えて建築したモダンバーン(現代的納屋)デザインが特徴的なセカンドハウスで、キッチンやバーンドア、収納などの家具はクライアントがDIYで製作する壮大な計画である。DIY用の作業場として建築した離れの小屋は、焼杉外観が特徴的な建物となっている。