column024 エコハウスとは何か

温室効果ガスの影響により地球温暖化が叫ばれてずいぶん経ちますが、近年は日本においても台風などの災害による影響が全国でみられるように異常気象の話しもよく耳にします。

そんな時代背景もあり住宅業界でも、省エネルギー住宅や低炭素住宅、ZEHなど(以下、省エネ住宅と呼ぶ)、地球温暖化に配慮した住宅の造り方を推奨しています。また、これらの省エネ住宅は国の住宅政策の一環でもあるので、何らかの基準が存在します。
エコハウスも省エネ住宅の1つとして使われることがある呼称だと思いますが、その使われ方はまちまちです。ただ自然素材を使った住宅をエコハウスと呼ぶ会社もあれば、パッシブデザインの住宅をエコハウスと呼ぶこともあります。
何故そういったことが起きるかというと、明確な基準がないからです。しかし、字面として分かり易く親しみやすいため、いろいろな場面で使われることになります。
従って、エンドユーザーが家づくりのパートナーを探す場面において、エコハウスという言葉がそれなりの頻度で出て来るため、「エコハウス=良い住宅」のように理解してしまっても仕方がないことでもあります。
そこで、エコハウスの基準的なものがないか少し調べてみると、環境省で「エコハウスモデル事業」という政策があり、そこではいくつか基準というか方針みたいなものを示しています。
1)環境基本性能の確保・・・断熱や気密、日射導入、通風などのパッシブデザインを十分理解し実践すること。また、自然素材の利用。
2)自然・再生可能エネルギー活用・・・地域の特徴をよく読み取り、太陽光、太陽熱、風、地中熱、水、バイオマス、温度差を上手に生かす技術や工夫の活用。
3)エコライフスタイルと住まい方・・・集まって住むための新しい仕組みづくりや、農地付き住宅のような新しいライフスタイルの提案。
4)地域らしさ・・・周辺環境、材料、工法、デザインなど、地域の特色を生かした住宅であること。

多少端折りましたが、何となく言わんとしていることは理解して頂けるでしょうか。
確かに、日本で言われる「エコ」っぽい感じは伝わってきますが、基準としては曖昧と言わざるを得ません。

省エネ住宅を語る上で重要なことは、数字で性能を示すことです。
国の政策では、Ua値(熱の伝わり易さ)を使うことが多いですが、それではパッシブデザインは評価されていません。また、一次エネルギー消費量で評価する場合もありますが、それでは範囲が広すぎて家の快適度合いは伝わりにくいです。
やはり、暖冷房負荷での評価が、Ua値の先の評価方法としては妥当だと思います。

住宅に比べれば価格が圧倒的に安い自動車でも、ガソリン1Lでどのぐらい走行出来るか?が数字で分かります。住宅でも、どのぐらいのエネルギーを投入したら家を暖かく涼しく維持出来るか?が分かる方が良いと思います。
エンドユーザーの方々は、エコハウスが良いのでなく「何がどのぐらいエコなのか?」をしっかり確認させてもらえるパートナーを選ぶようにすることが、本当のエコハウスに出会える一歩です。

column023 パッシブハウスの間取り

家の大きさや広さを表す言葉として、○LDKや床面積□坪などがありますが、それだけではどんな家なのかは分かりません。
そのどんな家なのか確認するのに良い方法が、間取りを見ることです。
間取りとは、どんな空間構成(部屋の集まり)で出来ているかを、平面的に確認出来るものです。プランニングやゾーニングなどと言ったりもします。

間取りを検討する上で大事なことは、各空間がどのようにつながっているのか?です。その空間のつながり方によっては狭く暗く感じたり、その逆に広く明るく感じたりします。
そして、その中でも大事なことは、玄関と階段の位置だと、私は考えています。
両方とも空間を動く距離とデザイン性に影響を及ぼします。また、階段は上下階をつなぐもので、当たり前ですが1階と2階で同じ位置にある必要があるので、上下階の間取りを考慮して位置を決めなくてはいけません。また階段の見方を変えると、空間を緩やかに隔てたり遮ったり、デザインのアクセントなどにもなりますので、用途以外に意味を持たせるのか否かも考えたりします。

さて、パッシブハウスに代表されるような高気密高断熱な高性能住宅は、家中どこにいても温度を一定に保つことが出来るので、各部屋の室温を保つために空間を閉じる必要がありません。これは、間取りを検討する上で大事な要素で、パッシブハウスにすると空間を緩やかにつなげたり閉じたりするような間取りをやり易くして、家族の存在を感じやすい家づくりの可能性が広がります。

壁などの隔たりがなく空間をつなげるということは、広く明るく感じさせることにつながります。それは、狭小敷地などで家の広さを確保出来ないとしても、間取りの工夫で広くも明るくも感じれることを意味し、それを可能にするのがパッシブハウスではないかと考えます。

パッシブハウスにする為には、少なからず今現在一般的に建てられている家よりイニシャルコストが掛かります。なので、費用が高額なので建てられないとの話しもよく聞きます。
しかし、ランニングコストも考えて検証すれば、トータルコストでは高額にはなりません。
また、家を狭くしても間取りの工夫で同じような広がりを感じることが出来れば、家を小さくすることで費用を捻出し、パッシブハウスにすることも可能です。

単純な広さによる満足度もありますが、工夫によって得た満足度にこそ心を惹かることがある、と私は思っています。
パッシブハウスは、健康で快適に暮らせます。
間取りを工夫することによって、その恩恵を感じてみませんか。

column022 住み替えられる街づくり

住み替えられる街づくり、これは私が10年ほど前に思いついたことですが、もう少し詳しく書くと「様々な世代の人々が、その時の生活スタイルに合わせて家を住み替えられる街」のことです。

日本人の多くが「住宅購入は、一生に一度の買い物」と思っています。そのような考えに至る理由は簡単で、家の価値が下がるからです。例えば、住宅購入の10年後に生活環境が変わったから新居が欲しい、となっても価値の下がった今の住まいを元手に新しい家を買うことは出来ません。従って、その家に一生住み続けることを前提に家を買います。
従って、多くの方は一生に一度の買い物だと思い、どうなるのか分からない20年後30年後を占い師の如く予想して今払える限界の金額を払い、家を造ります。
ここで誤解がないように書いておきますが、家の耐久性や耐震性をきちんと考え、長く(子供や孫の世代まで)住まわれる家を造る様な場合は価値観が変わって来るので、いわゆる「一生に一度」とは違う意識が強くなって来ると思っています。
私の言う価値が下がる家は「古くなる=悪くなる」そんな家のことを言っています。

ここで少し視点を変えますが、今の日本の家づくりは愛着が持ちにくいものになっていると思います。それは何故かと言うと、内外装に使うサイディングやビニールクロスは、安くてそれっぽく見える材料として重宝されていますが、結局それらは石でもタイルでもなければ、漆喰や木材でもありません。造った時がその材料のピーク(一番いい状態)で、要は「古くなる=悪くなる」でしかありません。
愛着とは「古くなるごとに味わいが出てこそ湧く」と私は思っています。それには「古くなる=味わいが出る」ような、いわゆる自然素材の材料を使わないとそうはなりません。そういった材料を使った家は、メンテナンスを繰り返し手塩にかけると味わいが出て、それが愛着となって表れてくると思います。

ハウスメーカー(以下、HM)に代表するような建売住宅は、安価でメンテナンス性に優れたそれっぽく見える材料で造っています。メンテナンス性に優れた材料は、HM側から見ると「クレームが少ない材料」とも言えます。HMの設計者も自然素材の良さは知っていますが、例えば無垢材などは季節によって変形したりするので、それがクレームにつながるので使いません。見方を変えれば、きちんと説明すれば良い気もしますが、そもそも建売住宅購入者は自然素材の良さを求めていないので、説明してもクレームになってしまう背景はあると思います。

こうして出来た建売住宅は、基本的にターゲット世代を決めて計画をするので、大体同じ世代の方々が購入します。また、間取りや広さなども同じようなものが多いです。これは、近隣関係として価値観が合い易いと思う反面、多様性に欠けているとも言えます。建売住宅は、一次所得者が購入することが多いので始めは皆若くて良いですが、時と共に年齢を重ね、いつしか「古くなる=悪くなる」街並みと共に廃れて行くことにもつながります。

これって、何か悲しくないでしょうか?

そこで私が考えたのが「住み替えられる街」です。
・その街は、耐久性や耐震性、温熱性をきちんと考え、長く住まわれる住宅で構成されています。
・その街は、長く愛されるような自然素材で造られた住宅で構成されています。
・その街は、小さい住宅から大きい住宅まで、いろいろな世代の方が住めるような家で構成されています。

そんな街で、私はこんな物語を想像しています。
 夫婦とまだ小さい樹くんの3人家族の新井さんは、その街で2LDKの小さいお家を買いました。子供はもう一人ぐらいは欲しいですが、今のところその予定はないですし、子供が二人になったとしても10年ぐらいは住めそうなので、当面は問題がありません。
 その後、子宝には恵まれなかったのでそのまま住み続けられそうでしたが、5年後のある日、夫の両親と同居せざるを得ないことになりました。さすがに、その小さいお家では手狭になるので、少し大きなお家を探すことにしました。その街で探したところ、3LDKで1階に和室のある程よい広さのお家が見つかりました。きちんと手入れをしていた小さいお家は適正に評価され、程よい広さのお家を買うのに十分な元手となりました。新井さんは小さいお家を売却し、程よい広さのお家を購入しました。
 更に10年が経ったある日、小さい子供だった樹くんも大きくなり、就職して会社の寮に住むことになったので、家を出て行くことになりました。
 また更に10年後、両親が共に他界し程よい広さのお家に夫婦二人になりました。樹くんも会社の寮は出ましたが、今はアパートで独り暮らしをしています。いろいろ検討した結果、夫婦は自分たちが元気なうちに小さいお家に引っ越すことにしました。始めに暮らした2LDKのお家が一番良かったですが、現在は別の家族が暮らしていたので、別の2LDKのお家を見つけ購入することにしました。もちろん、きちんと手入れをしていた程よい広さのお家を元手に買うことが出来ました。
 その5年後、樹くんもいつしか結婚し、子供が一人の家族を持っていました。そんな樹くんは今の自分たちに見合った家を買おうとしていますが、1つの思いがありました。
「会社の寮や独り暮らしのアパートは、住み心地が悪かった。家を買う時は、住み心地が良い家にしたい。」
そうです、住み心地が良い家で暮らした経験のある樹くんは、またそういった家で暮らしたと思っていました。樹くんは、その街とは別の「住み替えられる街」に小さいお家を買いました。

これは1つの例えで、「住み替える」ことと「愛着」がそぐわない気もします。確かに、ご自身の身内で代々住み継いで行ければ、それが一番良いことだと思いますが、今の時代背景を考えるとそういう訳にもいかない気がします。だとすれば、他人だとしても愛着を持って住まわれた家を住み継いで行くことも大事だと思います。
その街の住民が皆それぞれの家に愛着を持ち、住み替え住み継いで行く。
いずれ同じ家に住む時が来れば、それはそれで懐かしさという愛着が湧くことであり、いつの日か自分たちが暮らした家に孫たちが住むことになれば、そんなうれしいことはないでしょう。

この街づくりで私が重要視していることは、多様性と経験です。
この多様性を実現するには、未来を見据える想像力を持った建築士の知識とそれを形にする職人の技術が必要です。それにより家の価値が上がり、一生に一度的な意識とは違うものの見方で家づくりが出来ると思っています。また、居心地の良い住まいの経験は、それ以下の家に住めなくなるという価値観を生み出します。

最後に、これらの感性を持つには「家とは自分たちのモノではなく、地域社会のモノだ!」との観点が大事でこれからの世の中に必要なことだと思いますが、皆さんの思いは如何でしょうか。

column020 空間と建築費を考える

「必要なものだけを単純化して、美しいところを備えていれば、居心地よい家になる」
これは、志賀直哉が「住宅に就いて」書いた随筆の一文です。

何を持って居心地が良いかは人それぞれかと思いますが、この一文から感じられる居心地の良さが私は好きです。
私は設計する上でお客様のご要望を伺いながら、それらを如何にシンプルにまとめられるかを考えます。中にはなかなか答えにたどり着けず、考えを2つも3つも只々重ねることがありますが、そういった時はだいたいうまく行っていない証拠です。なので、あるところまで考えるともっとシンプルな考えがあるはずだと初心に帰ります。そして、頭を整理し本当に必要なモノ・コトは何なのかを考えます。
住宅設計とはこれの連続であり、そこへたどり着くには技術や知識、経験が必要だと思っています。

住宅に必要な要素は、耐久性や耐震性、温熱性能など多岐に渡ります。また、それらにお客様のご要望が加わり、更に考える要素を複雑にしていきます。しかし、それら必要な要素やご要望をただ単純に重ねていくだけでは、建築費がどんどん膨らみます。如何に同じ性能の建物を、よりシンプルで合理的な方法で、美的な建築をデザインするのか、が重要だと思いますし、それらを考えるのが我々建築士の仕事です。
家を建てる・造る状況において夢や希望が無い人はいないと思いますが、それらが合理的に考えられている方はほとんどいません。我々はプロとして様々な提案やアイディアを出すわけですが、それらがお客様の意にそぐわないと思わせることもあります。そういった場合、お客様側も夢や希望に縛られず、フラットに物事を捉えられる状況にないとより良い選択が難しくなります。

その選択を難しくする要素の1つに「今の生活スタイルをそのまま維持したい」という要望があります。確かにそれが重要な時もありますが、それは今までの家に合わせて培ってきたスタイルであって、継続すべきスタイルとは限りません。家を建てる・造るということは、いろいろな事をリセットして新たなスタイルを築いていけるチャンスでもあります。
次に多いのは、広さに対するこだわりです。狭くて良いとの希望を持たれる方は余りおらず「広くしたいが、安く建てたい」が多くの方が思われる事だと思います。希望としては十分理解しますが、それは多くの建築費が掛かることにもつながり、広さを維持したまま安くすることは、性能や品質が下がることを意味します。ここで、性能や品質が下がることを伝えてくれる設計事務所なり工務店は良心的かと思いますが、金額で勝負しているような工務店はそのことを言ってくれるとは限りません。

念の為書きますが、真摯に住宅建築に取り組んでいる多くの会社は、性能や品質が下がらずに安くする努力(VE/バリューエンジニアリング)を行っていますが、それには限界があるということはいつも心のどこかに留めておいて頂きたいと思います。

建築費で言うと、その目安として坪単価というものがあります。おおよその広さに対する総額を知りたい時に確認することが多いですが、坪単価は性能や品質によって大きく変わります。なので、本来であれば「どのぐらいの性能で、品質はどのグレードを求めているのか」をきちんと伝えないと、その単価はあまり意味を成しません。
また、広さについても「何故その広さが必要なのか?」を考える必要があります。確かに、最低限として必要な広さはありますし、空間の広さが豊かさをもたらすこともあると思います。しかし、住宅に必要な広さとは空間の寄せ集めではなく、奥行感や陰影などによって豊かに表現された空間ではないでしょうか。

住宅建築には、多くの費用が掛かります。更に言えば、やみくもに造るだけではいくら予算があっても足りません。従って、「シンプルで合理的=必要なものだけを単純化」で「美的な建築をデザインする=美しいところを備える」ことは、建築費を削減しながらも居心地の良い家へとつながることかと思いますが、皆さんはどのように感じたでしょうか。

column015 設計者の区分を考える

先日のこと、一般の方とお話しをしている際に「えっ、意匠設計者って何ですか?」と質問を受けました。私としては、特別なことではなくその言葉を使ったのですが、まさかそれについて質問をされるとは思っていませんでした。いつも一般の方とお話しをする時は、分かりにくい専門用語を使わないように気をつけていましたが、まだまだ配慮が足りませんでした。
そんな出来事があったこともあり、今日は設計者のあれこれについて少し書かせて頂きます。

それでは、そもそも設計者とは何なのかを、建築基準法(以下、建基法)の観点を交えながら簡単にご説明致します。
まずは、建築物の建築工事の実施のために必要な図面及び仕様書を「設計図書」と言いますが、それらを作成することが「設計」です。また、その設計や工事監理(工事が設計図書の通り実施されているかいないかを確認すること)その他の業務を行う者を「建築士」と言いまして、建基法の資格者になります。建築士の種別として「一級、二級、木造」の三種類がありますが、簡単に言うと従事出来る業務の規模が違います。
要は、建築士が行う業務の1つである設計図書を作成する者を「設計者」と呼び、工事監理についても同じでそれらを行う者を「工事監理者」と呼びます。
従いまして、設計者とは建築士の中でより業務内容にフォーカスした呼び名だと思って頂ければと思います。

設計者とは、設計する者のことを言いますが、設計にはいくつか種類がありまして、それが「意匠設計」と「構造設計」と「設備設計」です。

構造設計とは、伏図・構造計算書その他の建築物の構造に関する設計図書を設計することです。住宅などの小規模建築物でも、建基法にある技術的基準に適合していることを構造計算によって確かめなければいけませんが、それらの設計を行う者が構造設計者となります。
ここで問題になるのが、先のコラム(column014)でも書きましたが四号建築物の扱いです。四号建築物は構造計算に依らず建築することが出来るので、その建物には構造設計者が存在しないことになりますので、誰かが代わりをすることになります。

設備設計とは、主に建築設備に関する設計図書を設計することです。建築設備とは、電気・ガス・給排水などのインフラ系設備に始まり、換気空調や消火、エレベータなどの設備を言いますが、それらの平面図や構造詳細図などの設計を行う者が設備設計者となります。尚、設備設計に関しては、構造設計とは違い「延床面積が2,000㎡を超える建築物の建築設備に係る設計を行う場合においては、建築設備士(建築設備の専門家)の意見を聞くよう努める」となっておりますので、例えば住宅に関しては建築設備士が係ることは一般的にはありません。

いよいよ最後に意匠設計についてです。
始めの「えっ、意匠設計者って何ですか?」の答えは、「構造設計図書と設備設計図書以外の設計図書を設計する者」のことになります。建築設計においてキーパーソンとなるのが意匠設計者で、建築物のトータルデザインを行います。
意匠設計者の役割は多岐にわたり、お客様との打合せを重ね希望・要望などをくみ取り、実用的にあるいは美的にその建物をデザインすることに始まり、構造設計・設備設計のとりまとめ、建築確認などの申請業務、更には工事監理に至るまで、総合的に取りまとめて行く事を担います。
一戸建ての住宅などのお施主様がお会いになる設計者は、ほぼ意匠設計者です。それが呼称として「建築士」や「建築家」になったりするだけです。

意匠設計者は、お施主様のご希望などの情報を基に、設計する建築物の方向性を考え決定します。従いまして、その建築物の出来栄えは、構造設計者や設備設計者などの技術的な裏付けが有ってのことは当然ですが、意匠設計者の知識や経験あるいはマネージメント力で決まってしまうと言っても過言ではありませんので、とても重要なポジションです。

column013 住宅建築で解決すべきこと

極論を言えば、住宅建築とは、
「エネルギー問題と住宅ローン問題にどう向き合うのか」
にあると思っております。
エネルギー問題とはパブリックなこと、住宅ローン問題とはプライベートなことと捉えています。

エネルギー問題は、地球温暖化問題を起因とする省エネ・省CO₂社会実現への取り組みのことです。日本の省エネへの取り組みについては、1973年のオイルショックの頃より進められています。その当時は技術開発とエネルギー利用の徹底的な見直しで省エネを達成しましたが、バブル景気と重なるようにして起こった地球温暖化問題への対応は、その後の生活スタイルの変化も手伝い、京都議定書で約束した1990年比6%減の温室効果ガス排出削減は出来ていません。また、エネルギー需要に関しても、2013年度時点で産業部門や運輸部門は削減出来ていますが、住宅が関わる民生部門では33.5%増となっており、全体のシェアにおいても民生部門が1/3を占めています。従いまして、住宅レベルでも建築物の省エネ化をすることが重要なこととなっております。

このように書いてしまうと、いざ住宅建築をする際に、少し話しが大きすぎて他人ごとにように感じてしまうかもしれませんが、光熱費で考えれば身近に感じることが出来るかもしれません。
今現在も、東日本大震災の影響により、電気代は上がっています。また、電気代上昇の原因にもなっている化石燃料についても、長期的に見れば価格が上昇していくことは予想され、光熱費は上がることはあっても下がる可能性は少ないと思います。
少し話しがそれますが、日本は2000年頃に比べ年あたりの化石エネルギー輸入額が10~20兆円も増えているそうです。以前この話しを聞いた時は、日本は大丈夫か?とさすがに思わざるをえませんでした。
生活のために光熱費は必要ですが、その行き先が化石燃料を買う(国外にお金が流れる)ことだと思うと、さすがにもったいないと思います。上がり続ける光熱費を少しでも減らす為、なるべく省エネな暮らしが出来るような家づくりや住まい方を目指すべきだと思います。
省エネな家づくりの第一歩は、世帯当たりのエネルギー消費量の1/4を占める暖房需要を減らすことです。それには、高気密高断熱化と日射取得を増やすことが重要で、早い話しパッシブハウスにするのが良いと思います。また、パッシブハウスにすることは、体感温度に優れた居心地の良い空間とすることも出来、より健康的に暮らすことが出来ます。更に、パッシブハウスにすることは、30年後の資産価値向上へも寄与します。これは、プライベートなことと書いた住宅ローン問題の解決にも関わっており、パッシブハウスにすることは多岐にわたる問題が解決するポテンシャルがあると言っても過言ではありません。
あと世帯当たりのエネルギー消費量を減らすのに重要なことが「動力・照明他」の消費量削減です。バブル経済以降、インターネットの普及などにより大変便利な世の中になりましたが、パソコン関連含め家電などによる消費量が増大しました。これは、家の性能そのものよりも住まい方によるところが大きいため、皆様一人一人の努力が不可欠な内容です。

さて、次は住宅ローン問題です。
多くの方が、住宅を手に入れる為に住宅ローンを組みます。住宅ローンを組むということは、当たり前ですが利息が発生します。現在は、超低金利時代ですが、それでもトータルで考えれば家の価値(価格)以上のお金を払うことになります。しかも、払い終わった頃には家の価値がなくなっている、というのが今の日本の実情です。
価値がないという評価を的確に説明するのは難しいですが、その先も暮らしていくには建物の状態が悪くなっていることとするならば、スクラップ&ビルドすることになります。これは、先のコラム(column011)でも書きましたが余り良い状況ではありませんし、新たな住宅ローンを組んでそれを支払っていくことを考えると、何という悪循環でしょうか。初めの方が住宅ローンを組んで家の価値以上のお金を払うのは仕方がないとしても、次の方、ご自身のお子様やお孫様がその悪循環から脱するためには、初めの住宅ローンが払い終わった頃にまだ価値が維持されていることや少しの修繕で暮らしていける状態の家を残していく必要があります。要は、少しでもその住宅が長く使えるように、先のことを考えて住宅建築する、ということです。
住宅の価値が維持出来る様な社会であれば、住宅ローンで利息を払うことになっても、それがペイ出来る可能性もあります。将来的にはそのような社会になると良いですが、それはまだまだ先のお話しであり、なるとも言えません。そう考えると、住宅ローンというものにきちんと向き合い、なるべく余計なお金を払わなくても良いような住宅建築を考えることも必要かと思います。

住宅建築とは、シーンの積み重ねで出来ています。でも、そのシーンが一瞬のことしか考えていないと良いものにはなりません。当たり前ですが、一日は24時間であり、一年は365日あります。また、年月の積み重ねは住宅に変化を与え、住まい手にも変化(歳を重ねる)を与えます。「先のことを考えて住宅建築をする」ということは、そのシーンへの向き合い方にも変化を与えます。この変化は、住宅建築をより良いものへと導き、結果としてエネルギー問題やローン問題を解決することにもつながります。
エネルギー問題や住宅ローン問題は、プロ側が意識として持っていれば良いことでもありますが、エンドユーザー(住まい手)側も頭の片隅に置いていないと、それらを意識してくれるプロとの出会いもありません。
「暖かい家や自然素材を使った家を設計してくれるプロが、何を意識してそれらを考えているのか?」、この見極めが良い建築士を探せるポイントになると私は考えていますが、皆さん如何でしょうか。

column012 新築と改修を考える

住宅建築のあり方を大きくわけると「新築」と「改修」です。
建て替えは「新築」であり、中古住宅を購入することは規模の大小はあれ「改修」することが前提になると思います。
現在の日本で住宅購入を検討する場合、注文住宅であれ建売住宅であれ、多くの方が選択する方法が新築です。また、その後の流れとして多いのは、25~35年ぐらい(以下、1世代ほど)住むと設備が古くなったり建物そのものも劣化して来るという状況と、家族関係のイベント(世代交代など)が重なることで、何となく心機一転建て替えようか?みたいなことになります。

私は、先の世代(ご自身の子供や孫以外も含む)のことを考えて住宅建築をするなら「新築」が、その世代限りの利用しか想定しないなら「改修」が良いと考えています。

新築する場合は、所謂「高性能住宅」にすることが前提です。
高性能住宅とは?という論議はあろうかと思いますが、少なくても1世代ほど生活して中古住宅となった時点で、その時代でも一般的な住宅性能や建物価値を有している必要はあろうかと思います。温熱性能で言えば、パッシブハウス(ドイツ・パッシブハウス研究所による省エネ基準)性能であれば十分だと思いますし、耐久性や耐震性についても現在の一般的な性能ではなく、先のことを考えた性能が必要だと思います。検討事項としては、やるべきことをしっかり吟味して設計すれば一概には言えませんが、高性能住宅はイニシャルコストが現在の住宅価格相場より上がることは予想されます。したがって、その支払いの準備は必要としますが、高性能住宅にしておくことは、各世代でのランニングコストを軽減できるメリットがありますので、イニシャルコストのUPについては長い目で吟味することが重要です。

改修の場合は、ご自身のことだけを考えれば良いので、新築よりは検討条件はシンプルです。
簡単にいえば、住宅購入時のご自身の年齢を踏まえ「あと何年住みたいのか?」を考えて改修すれば良いことになります。
ここで少し話題を変えますが、現在の日本には住宅ストック数が約6,000万戸ありますが、そのうちの約820万戸が空き家の状況です。空き家率で言えば、実に13.5%が空き家です。ここで(詳細は省きますが)戸建て空き家調査の内で、一時利用や2次的住宅を除く「その他住宅(解体予定、長期不在、物置利用など)」のデータを2つご紹介します。1つ目が、75%が昭和55年以前の建物であること。2つ目が、腐朽や破損がない建物は25%程度しかないこと、です。
(以上、データは国交省HPより)
中古住宅を改修して利用する場合、建物の状態で改修に掛かるコストがだいぶ違います。例えば、昭和55年以前の建物ですと、新耐震基準以前の建物ですので、耐震補強にお金が掛かります。また、構造体に腐朽や破損があると使える部分が少なくなってしまうため、中古住宅を改修して利用するメリットが殆どありません。先の国交省データは、中古住宅として購入可能な建物の一部でしかありませんが「新耐震基準(昭和56年以降)+躯体が健全」という中古住宅はあまり存在しない可能性があります。そういった意味では、改修を選択した時の検討条件はシンプルですが、適当な建物を探すことに苦労があるかもしれません。

私は、ストック住宅を活用した方が良いと思っておりますが、言葉は悪いですが、利用価値のない建物を無理やり改修して活用することには反対です。実情としては簡易調査のみで判断されていることが多いかと思いますが、価値のある・ないを詳細調査を実施した上でしっかりと吟味すべきかと思います。詳細調査については、(一社)住宅医協会が行う「既存ドック」が最適です。一般的なインスペクションでは見ないような部分もしっかりと調査してくれますので、価値判断に役立つと思います。

ここで言えることは、住宅を建築する方法はいろいろとある、ということです。
あまり素人考えで決めつけることなくプロの建築士などに相談し、ご自身に合った住宅建築を見つけてほしいと思います。

column011 design concept

住居とは「私たちの生活を雨風や寒暖から守る」ためのものです。古くは竪穴式住居から始まった私たちの住居は、自然の驚異に晒されながらも、時にはそれらの力を利用して「如何にして快適性を得るか」ということを考えながら生活してきました。
吉田兼好の徒然草「家のつくりやうは、夏を旨とすべし」は有名ですが、今では技術が発展し夏のことも冬のことも考えて住居を考える時代になりました。

技術が発展してきて私たちの暮らしは大変便利になりましたが、それは「電気なしの生活が考えられない時代になった」とも言えます。正に、吉田兼好の自然の力を利用する世の中から、地球が長い時間を掛けて作ってきた化石燃料を利用する世の中への変化です。更に、地球温暖化が叫ばれる昨今は、二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギーと称し、制御困難な原子力が使われるという世の中にまでなってしまいました。

現状では、多くの電気を再生可能エネルギーではなく化石燃料で作っています。原発は事故によってずっと先の世代まで損失をもたらしますが、有限である化石燃料を我々の世代でどんどん使うことは何れ枯渇する可能性を意味し、先の世代を考えればある意味原発と同じです。
要は、再生可能エネルギーで世界の電力量が賄えるその日までは、少しでも化石燃料の使用量を減らさなければなりません。
それらにおいて住宅で出来ることは、吉田兼好の時代に戻り自然の力のみを利用し快適性を得ることではなく、所謂パッシブデザインによって創意工夫をしながら、なるべく少ないエネルギー消費で快適性が得られるよう建築することです。

住居を考える上で、もう一つ大事なことがあります。それは、建物寿命です。今の多くの住宅は建物寿命が欧米に比べ短いです。それには、日本が地震大国なことなどいろいろな背景が絡んでいますが、そもそも「長く使うことを前提として建築していない」ことは大きな理由の一つです。また、そのことで住宅ローン問題を生んだり、頻繁にスクラップ&ビルドする結果として、その度に思い出までもがスクラップされることになります。
それらを解決する方法の1つは、先のことを見据えて耐久性と耐震性を考えることによって、建物の価値が無くならないよう建築することです。
そうすれば、「価値あるものを残し、手を加えながら住み続ける」ことが選択肢となり、あなたがその住居で過ごした数々の思い出も生き続けることにつながります。

世代を超えて
末永く暮らせる・住まわれる
性能と機能をデザインする

私たちはそんな住環境をご提案いたします。

column010 仕上素材を考える-基本編

外壁や屋根などの外部から内壁・床や天井と言った内部まで面を構成する部分には、多くの場合に仕上材が存在します。外装材であれば、窯業系サイディングから石やタイル・塗装・木板など様々なものが存在しますし、内装材についても、ビニールや紙のクロス類から漆喰などの塗り材や塗装などこちらも様々存在します。
基本としては、建て主様の好みに合った材料を使えば良いと思いますが、実は法律上や建築環境の観点など材料の選定において検討すべきことはいろいろとあります。

まずは、外部について。主な注意すべき点は3つ、耐震性と耐久性と防火性です。
耐震性については、なるべく軽い材料が構造的には有利です。それは、石やタイルなど比較的荷重のある材料を選ぶと、地震時に躯体へ掛かる負荷が大きくなり、その分耐力が必要になるからです。したがって、耐震性という観点で選ぶなら、外壁で言えば、金属系サイディングや木板などが、屋根で言えば、板金葺きやコロニアルなどの軽い材料が有利でしょうか。
次に耐久性ですが、これは言い方を変えると維持管理のことです。外部用仕上材(周辺部材も含む)は基本的には紫外線劣化をするので、一定のサイクルでメンテナンスを行なう必要があります。フリーメンテナンスにするのはなかなか難しく、あえて言えば、新築時がベストの状態ではなく、使いながら良くなっていく(風合いが出てくる)様な材料を使うことでそれに近い状態になるかもしれませんが、それでもフリーと言う訳には行かないです。従って基本的には、耐久性のある・耐用年数の長い材料を選ぶことが、維持管理を楽にします。また、将来のメンテナンスや改修工事のことを考えると「足場を組むか、組まないか」が費用の面で最も重要な課題になります。言い方を変えると、なるべく足場を組む回数を減らしてメンテナンスを行っていきたいので、屋根・外壁などの仕上材の耐用年数を同じぐらいにしておくのも1つの手かと思います。
次は防火性についてです。これは都市計画上の地域などにもよりますが、都市部や郊外など住宅が多く立ち並ぶような地域では、外壁及び屋根に防火性が求められています。これは、外壁で言えば「外部からの延焼にある時間耐えうる(燃えない)外壁の構造にしなければならない」というもので、仕上材のみに言及しているわけではなく、仕上材を含む外壁としての構造を問われています。多くの場合は、各仕上材で認定工法がありますのでご希望の仕上材に見合った工法で検討しますが、1点だけ注意事項があります。それは、高断熱住宅にしたい場合です。在来木造で言えば、柱間の充填断熱と外部側に付加断熱をして高断熱とすることがありますが、その場合の認定工法(特に45分準耐火構造)が今現在あまり存在しません。認定工法の場合、認定書に書いてある部材以外使ってはいけないことになっており、特殊な外壁材と断熱材で高断熱住宅としたい場合は、注意が必要です。

次は、内部について。主な注意すべき点は2つ、室内環境と防火性です。
屋内環境とは、ホルムアルデヒドなど(以下、VOC等)によるシックハウス症候群対策と湿度対策です。VOC等については、昨今は材料への含有量が法律により規制され以前よりは安全になっておりますが、それでもなくなっているわけではありません。また、建基法で換気設備の設置も義務付けられているため安全性は高まっていますが、それでもより安全を期すならば、VOC類含有の可能性がある塗料や接着材を使った材料はなるべく使わない方が良いでしょう。対策としては、合板類をなるべく使わないことや漆喰や珪藻土と言った自然素材を仕上材で使うことが上げられます。また珪藻土の場合は調湿性能(JIS規格)がありますので、湿度対策にも有効です。尚、一日の湿度変化を考えると、その調湿性能がある材料の表面2~3mmぐらいしか効いていないため、なるべく調湿効果を持たせたいならば、材料の厚さではなく表面積を増やすのが得策です。
最後に防火性については、基本的には火気使用室(要は、キッチン)には不燃性の材料を使う必要がありますが、一般的な国産の仕上材は準不燃材料認定などを持っているので大きく問題になることはありません。ちなみに、木板や認定のない材料を使いたい場合は、国交省告示225号を使うと火気使用室内でも(告示の範囲内で)不燃仕上以外を使うことが可能になります。

仕上材ぐらいは好きなものを使って良さそうに思いますが、意外に法律での決まりがあります。また、外装材などはいろいろな意味で周辺環境へも影響がありますので、総合的な判断で材料を選択できると良いですね。

column009 窓を考える-基本編

建物には、外部へ向かって開いている部分があります。それを「開口部」といいますが、換気の為のものだったり人が出入りする為のものだったりします。窓もその開口部の1つで、採光や通風、眺望といった目的のために設置されており、主にガラスで外と内を遮っているものを言いますが、今回はそんな窓についてのあれこれを書いていこうと思います。

まずは、窓採光について。建築基準法令(以下、建基法)上から説明しますと、居室には床面積に対してある割合以上の採光上有効(隣地との離れが関係します)な大きさの窓を設置するよう求められています。多少の例外はありますが、基本的には窓のない居室は建基法上認められておりません。これは、ある程度の敷地面積が確保されている場合はそれほど難しいことではありませんが、都市部の狭小敷地などでは意外とやっかいで、平面プランを検討するのに多大な影響を及ぼします。例えば、隣地に囲まれた場所に居室を計画すると、まず採光上必要な窓が確保出来ません。まあ、それでもいろいろなテクニックを使って建基法上有効な窓をひねり出しますが、正直この窓からの採光より照明の方が明るい、的なことは良くあります。従って、採光上有効な窓をちゃんと採光出来る様に作ろうと思うと、建築出来ないであろう土地が東京など都市部ではたくさん出来てしまうと思います。そもそも明るさの問題だけなら照明で代替出来るだろうといった意見もありますが、災害時なども考えると一概には言えないことです。また、多少隣地が迫った場所に設置する窓であっても、自然光が反射され木漏れ日のように室内に入って来ます。その良さは、私がここで書く必要もないほど皆さん体験上ご存知のことと思いますので、法律云々とは別に、どんな敷地条件であれ如何に家全体を窓からの採光で明るくするか、の工夫はすべきことかと思います。

次に、窓通風・換気について。また建基法上から説明しますと、これも採光と同じようにある割合以上の窓の設置を求められております。また詳細は省きますが、基本的には採光上有効な窓で換気も出来ることがベターです。それと換気の場合は、採光とは違い換気扇などの機械設備でも代替出来ることになっています。居室の換気だけを考えれば居室のどこに窓があってもある程度は機能すると思いますが、家全体の通風を考えるとなかなかそうもいきません。通風を考える場合は、まず風の入口と出口を適度な位置・距離を持って確保する必要があります。基本的には、その地域ごとにある卓越風を参考にして位置を決めると良いと思います。また(通)風は温度差でも起きますので、卓越風から入口を決めたらその反対側の上部に窓を設置すると風のないような日でも風通しを感じるような設えになると思います。

通風からも分かる通り、窓は開け閉めすることで簡単に建物の外と内をつなげることが出来る反面、温熱環境という面から見ると、主にガラスで出来ているために熱の移動が激しく、冬で言えば50%以上の熱が流出し、夏は70%以上の熱が流入します。最近はLow-Eガラス樹脂窓などの商品もありますので、だいぶ性能が良くなってきました。それでも例えば、APW430(YKKap)はUw値が0.9w/(㎡・K)※カタログ値ですが、一般的な断熱材である高性能グラスウール90mmのU値は0.42 w/(㎡・K)ですので、窓の方が倍以上の熱の出入りがあることになります。まあ、倍ぐらいしか違いがない所まで窓の性能が上がって来たことはすごいことなのですが、それでも壁等の断熱材は厚さを増やせばその数値はどんどん下げられますが、窓はそういう訳にもいかないことを考えると、やはり窓の設えをどうするのかが、温熱環境を考える上では重要なことかと思います。

これらのように、窓に求められる機能は多岐に渡ります。素材にしても、アルミ・樹脂・木製などいろいろと存在し、耐久性・メンテナンス性・防火性なども考慮しながら商品を決めて行かなければいけません。当たり前ですが、窓のない住宅は存在しませんので、住まう方それぞれに自分たちが求める窓の機能・性能をきちんと理解し考えるべきかと思いますが、皆さん如何でしょうか。