column009 窓を考える-基本編

建物には、外部へ向かって開いている部分があります。それを「開口部」といいますが、換気の為のものだったり人が出入りする為のものだったりします。窓もその開口部の1つで、採光や通風、眺望といった目的のために設置されており、主にガラスで外と内を遮っているものを言いますが、今回はそんな窓についてのあれこれを書いていこうと思います。

まずは、窓採光について。建築基準法令(以下、建基法)上から説明しますと、居室には床面積に対してある割合以上の採光上有効(隣地との離れが関係します)な大きさの窓を設置するよう求められています。多少の例外はありますが、基本的には窓のない居室は建基法上認められておりません。これは、ある程度の敷地面積が確保されている場合はそれほど難しいことではありませんが、都市部の狭小敷地などでは意外とやっかいで、平面プランを検討するのに多大な影響を及ぼします。例えば、隣地に囲まれた場所に居室を計画すると、まず採光上必要な窓が確保出来ません。まあ、それでもいろいろなテクニックを使って建基法上有効な窓をひねり出しますが、正直この窓からの採光より照明の方が明るい、的なことは良くあります。従って、採光上有効な窓をちゃんと採光出来る様に作ろうと思うと、建築出来ないであろう土地が東京など都市部ではたくさん出来てしまうと思います。そもそも明るさの問題だけなら照明で代替出来るだろうといった意見もありますが、災害時なども考えると一概には言えないことです。また、多少隣地が迫った場所に設置する窓であっても、自然光が反射され木漏れ日のように室内に入って来ます。その良さは、私がここで書く必要もないほど皆さん体験上ご存知のことと思いますので、法律云々とは別に、どんな敷地条件であれ如何に家全体を窓からの採光で明るくするか、の工夫はすべきことかと思います。

次に、窓通風・換気について。また建基法上から説明しますと、これも採光と同じようにある割合以上の窓の設置を求められております。また詳細は省きますが、基本的には採光上有効な窓で換気も出来ることがベターです。それと換気の場合は、採光とは違い換気扇などの機械設備でも代替出来ることになっています。居室の換気だけを考えれば居室のどこに窓があってもある程度は機能すると思いますが、家全体の通風を考えるとなかなかそうもいきません。通風を考える場合は、まず風の入口と出口を適度な位置・距離を持って確保する必要があります。基本的には、その地域ごとにある卓越風を参考にして位置を決めると良いと思います。また(通)風は温度差でも起きますので、卓越風から入口を決めたらその反対側の上部に窓を設置すると風のないような日でも風通しを感じるような設えになると思います。

通風からも分かる通り、窓は開け閉めすることで簡単に建物の外と内をつなげることが出来る反面、温熱環境という面から見ると、主にガラスで出来ているために熱の移動が激しく、冬で言えば50%以上の熱が流出し、夏は70%以上の熱が流入します。最近はLow-Eガラス樹脂窓などの商品もありますので、だいぶ性能が良くなってきました。それでも例えば、APW430(YKKap)はUw値が0.9w/(㎡・K)※カタログ値ですが、一般的な断熱材である高性能グラスウール90mmのU値は0.42 w/(㎡・K)ですので、窓の方が倍以上の熱の出入りがあることになります。まあ、倍ぐらいしか違いがない所まで窓の性能が上がって来たことはすごいことなのですが、それでも壁等の断熱材は厚さを増やせばその数値はどんどん下げられますが、窓はそういう訳にもいかないことを考えると、やはり窓の設えをどうするのかが、温熱環境を考える上では重要なことかと思います。

これらのように、窓に求められる機能は多岐に渡ります。素材にしても、アルミ・樹脂・木製などいろいろと存在し、耐久性・メンテナンス性・防火性なども考慮しながら商品を決めて行かなければいけません。当たり前ですが、窓のない住宅は存在しませんので、住まう方それぞれに自分たちが求める窓の機能・性能をきちんと理解し考えるべきかと思いますが、皆さん如何でしょうか。