column013 住宅建築で解決すべきこと

極論を言えば、住宅建築とは、
「エネルギー問題と住宅ローン問題にどう向き合うのか」
にあると思っております。
エネルギー問題とはパブリックなこと、住宅ローン問題とはプライベートなことと捉えています。

エネルギー問題は、地球温暖化問題を起因とする省エネ・省CO₂社会実現への取り組みのことです。日本の省エネへの取り組みについては、1973年のオイルショックの頃より進められています。その当時は技術開発とエネルギー利用の徹底的な見直しで省エネを達成しましたが、バブル景気と重なるようにして起こった地球温暖化問題への対応は、その後の生活スタイルの変化も手伝い、京都議定書で約束した1990年比6%減の温室効果ガス排出削減は出来ていません。また、エネルギー需要に関しても、2013年度時点で産業部門や運輸部門は削減出来ていますが、住宅が関わる民生部門では33.5%増となっており、全体のシェアにおいても民生部門が1/3を占めています。従いまして、住宅レベルでも建築物の省エネ化をすることが重要なこととなっております。

このように書いてしまうと、いざ住宅建築をする際に、少し話しが大きすぎて他人ごとにように感じてしまうかもしれませんが、光熱費で考えれば身近に感じることが出来るかもしれません。
今現在も、東日本大震災の影響により、電気代は上がっています。また、電気代上昇の原因にもなっている化石燃料についても、長期的に見れば価格が上昇していくことは予想され、光熱費は上がることはあっても下がる可能性は少ないと思います。
少し話しがそれますが、日本は2000年頃に比べ年あたりの化石エネルギー輸入額が10~20兆円も増えているそうです。以前この話しを聞いた時は、日本は大丈夫か?とさすがに思わざるをえませんでした。
生活のために光熱費は必要ですが、その行き先が化石燃料を買う(国外にお金が流れる)ことだと思うと、さすがにもったいないと思います。上がり続ける光熱費を少しでも減らす為、なるべく省エネな暮らしが出来るような家づくりや住まい方を目指すべきだと思います。
省エネな家づくりの第一歩は、世帯当たりのエネルギー消費量の1/4を占める暖房需要を減らすことです。それには、高気密高断熱化と日射取得を増やすことが重要で、早い話しパッシブハウスにするのが良いと思います。また、パッシブハウスにすることは、体感温度に優れた居心地の良い空間とすることも出来、より健康的に暮らすことが出来ます。更に、パッシブハウスにすることは、30年後の資産価値向上へも寄与します。これは、プライベートなことと書いた住宅ローン問題の解決にも関わっており、パッシブハウスにすることは多岐にわたる問題が解決するポテンシャルがあると言っても過言ではありません。
あと世帯当たりのエネルギー消費量を減らすのに重要なことが「動力・照明他」の消費量削減です。バブル経済以降、インターネットの普及などにより大変便利な世の中になりましたが、パソコン関連含め家電などによる消費量が増大しました。これは、家の性能そのものよりも住まい方によるところが大きいため、皆様一人一人の努力が不可欠な内容です。

さて、次は住宅ローン問題です。
多くの方が、住宅を手に入れる為に住宅ローンを組みます。住宅ローンを組むということは、当たり前ですが利息が発生します。現在は、超低金利時代ですが、それでもトータルで考えれば家の価値(価格)以上のお金を払うことになります。しかも、払い終わった頃には家の価値がなくなっている、というのが今の日本の実情です。
価値がないという評価を的確に説明するのは難しいですが、その先も暮らしていくには建物の状態が悪くなっていることとするならば、スクラップ&ビルドすることになります。これは、先のコラム(column011)でも書きましたが余り良い状況ではありませんし、新たな住宅ローンを組んでそれを支払っていくことを考えると、何という悪循環でしょうか。初めの方が住宅ローンを組んで家の価値以上のお金を払うのは仕方がないとしても、次の方、ご自身のお子様やお孫様がその悪循環から脱するためには、初めの住宅ローンが払い終わった頃にまだ価値が維持されていることや少しの修繕で暮らしていける状態の家を残していく必要があります。要は、少しでもその住宅が長く使えるように、先のことを考えて住宅建築する、ということです。
住宅の価値が維持出来る様な社会であれば、住宅ローンで利息を払うことになっても、それがペイ出来る可能性もあります。将来的にはそのような社会になると良いですが、それはまだまだ先のお話しであり、なるとも言えません。そう考えると、住宅ローンというものにきちんと向き合い、なるべく余計なお金を払わなくても良いような住宅建築を考えることも必要かと思います。

住宅建築とは、シーンの積み重ねで出来ています。でも、そのシーンが一瞬のことしか考えていないと良いものにはなりません。当たり前ですが、一日は24時間であり、一年は365日あります。また、年月の積み重ねは住宅に変化を与え、住まい手にも変化(歳を重ねる)を与えます。「先のことを考えて住宅建築をする」ということは、そのシーンへの向き合い方にも変化を与えます。この変化は、住宅建築をより良いものへと導き、結果としてエネルギー問題やローン問題を解決することにもつながります。
エネルギー問題や住宅ローン問題は、プロ側が意識として持っていれば良いことでもありますが、エンドユーザー(住まい手)側も頭の片隅に置いていないと、それらを意識してくれるプロとの出会いもありません。
「暖かい家や自然素材を使った家を設計してくれるプロが、何を意識してそれらを考えているのか?」、この見極めが良い建築士を探せるポイントになると私は考えていますが、皆さん如何でしょうか。