column006 木材の耐久性を考える②

木材の耐久性を損なうものは、主に「害虫と菌」です。

ここでいう菌とは、木材腐朽菌のことを指します。要するにキノコ類のことですが、それらが原因で起こる木材腐朽とは、そういった菌類に木材の細胞壁を構成する「セルローズ・セミセルローズ・リグニン」が分解され組織構造が崩壊し、木材の強度が低下することです。

住宅で被害の多い木材腐朽菌は、主に「褐色腐朽菌」と「白色腐朽菌」です。
褐色腐朽菌は、セルローズとセミセルローズをほぼ同じ比率で分解します。リグニンにも作用しますが、完全には分解しないため、褐色であるリグニンの色に木材が変色します。セルローズは鉄筋コンクリートに例えると鉄筋に例えられますが、その鉄筋が分解されるため、乾燥するとセルローズの配列方向である繊維方向と垂直に割れが発生します。腐朽初期から木材の強度低下が著しく、針葉樹をよく分解します。
白色腐朽菌は、セルローズ・セミセルローズ・リグニンをほぼ同じ比率で分解する菌と、リグニンを優先的に分解する菌がいます。褐色腐朽菌とは違いリグニンが分解されるため、白色であるセルローズ・セミセルローズの色に木材が変色します。また、強度も褐色腐朽菌とは違い、重量減少に伴い徐々に低下します。広葉樹をよく分解しますが、シイタケやエノキタケなどの食用キノコはこの菌です。

木材腐朽を進行させるには、「酸素」「温度」「栄養(木材)」「水分」が必要ですが、どれか1つでも欠けると木材腐朽は発生しません。結論から言えば、壁内の水分を管理することで木材腐朽を防ぐことが出来ます。
壁内で注意する水分は主に2つです。
まず1つが、雨水の侵入です。多くは、屋根や外壁等の防水がきちんと施工されていないために起こることです。最低限として、瑕疵担保責任保険で定められている設計・施工基準を守ることが重要ですが、なるべくシンプルで効果的な納まりと適切なメンテナンスを心掛けたいです。
もう一つが、壁内結露による水分発生です。基本的には、外壁の室内側に防湿シートを張り、外気側は透湿防水シートによる外壁通気工法を採用することで防ぐことが出来ますが、近年は省エネ化による高気密・高断熱住宅が多くなり、外壁の仕様も多様化しています。しっかりとした施工をすると共に結露計算などにより理論的な確認をすることで、壁内結露のリスクを少しでも回避するようにしたいです。
また、菌の発芽には相対湿度75%以上が必要とされ、60%以下ではほとんど繁殖しませんが、使用する木材を平衡含水率である15%付近まで乾燥させることで初期リスクを少しでも下げておくことも重要です。

その他の対処法としては、耐久性の高い木材を使うことと適切な木材保存処理をすることです。
まず、単に耐久性で言えば、ヒノキやヒバが高く、スギやカラマツなどは中程度です。保存処理薬剤の浸潤度規準における耐久性樹種区分においては、ヒノキ・ヒバ・スギ・カラマツなどはD1という区分に入りますが、芯材の浸透性区分では「ヒバ→スギ→ヒノキ→カラマツ」の順で困難になって行きます。要するに、同じD1区分でも性質がけっこう違うためまったく同じとは言えませんので、参考程度に知っておくと良いかと思います。
その他、木材種の選択や薬剤処理等の基本的なことは、防蟻と変わりませんので割愛します。

最後に、耐久性は建物が完成すると見えなくなってしまう部分のことですので、設計・施工段階で適切な検討と施工を心掛ける必要があるかと思います。