column005 木材の耐久性を考える①

木材の耐久性を損なうものは、主に「害虫と菌」です。

害虫には、ヒラタキクイムシなどの甲虫や白蟻などがいますが、その中にも乾燥を好むものや湿潤を好むものなど様々な種類が存在します。
ヒラタキクイムシは、乾燥を好み湿潤状態に弱いのが特徴です。ラワンやケヤキ、ナラ等の広葉樹の辺材を加害しますが、栄養が少ない針葉樹には加害しません。したがって、構造材である桧や杉からの発生よりは複合フローリングなどの造作材からの被害が主です。

シロアリは、腸内原生生物を体に持っていて他の生物が栄養と出来ないセルロースを分解し栄養とします。次にそのシロアリを食べて栄養としている生物がいるわけですが、要するにシロアリは食物連鎖の始まりです。我々には害虫と呼ばれてしまうシロアリですが、地球環境という視点でみれば益虫です。ですから、土の中にさえ居てくれれば良いものを、わざわざ地表に出て来て悪さをするばっかりに害虫と呼ばれてしまう訳です。

国内で建築物を加害するシロアリは、地下シロアリと呼ばれるヤマトシロアリとイエシロアリ、乾材シロアリと呼ばれるアメリカカンザイシロアリが有名です。
地下シロアリはその名の通り、地下に生息し主に湿潤な材を好んで食害します。イエシロアリは温暖な地域に生息しますが、長い移動距離と大きなコロニーを持つことなどを理由に、被害が大きくなりやすいです。
アメリカカンザイシロアリは、そもそも家具などの輸入などによって日本に持ち込まれた移入種なので、被害が地域限定の側面もあります。建物への侵入方法も地下シロアリとは違い、羽アリが軒先などから屋根へ侵入し、乾燥材を食害します。

シロアリ被害を防ぐ方法はいろいろありますが、まずは侵入させないことが重要です。当たり前のようですが、浸入しなければ被害にあいません。
地下シロアリは体表の乾燥を嫌うので、浸入経路になりやすい基礎廻りの風通しを確保します。また、地中からの侵入を防ぐためにベタ基礎等を採用しますが、0.6~1.3mm程度の隙間があれば侵入を許してしまうので、基礎の打継や地中からの配管等の隙間も適宜処理する必要があります。
こうして侵入を防ぐわけですが、それでもシロアリは侵入してくるので、今度は木材が食害されないようにします。それにはまず、土台を耐蟻性が高い樹種のヒバなどの芯材にします。桧に関しては耐蟻性で言えばスギと変わりませんが、後述します耐腐朽性が高いので、桧も使われる材料です。柱も同様に、耐腐朽性・耐蟻性を考慮した材料にします。木材に気を使ったあとは、それらに薬剤処理を施します。未だ、ハウスメーカーを始め多くの会社で合成殺虫剤系の防蟻処理を施していますが、効果が3~5年で切れてしまいますのでお勧め出来ません。私の事務所では、全構造材のホウ酸処理が標準です。水に溶けるという弱点はありますが、建物が完成してしまえば構造材が雨等にさらされる心配はありませんので、施工時に配慮すれば問題ありません。ホウ酸は効果が切れることもなく、また代謝を止めて害虫を殺すため耐性を持たれることもありませんので、非常に良い防腐防蟻材だと思っています。

シロアリはどこにでもいる、と思った方が良いです。適切な処理と定期的な点検で被害の発生を抑えるようにすることが肝要です。