column002 耐力壁

何時何処で大きな地震が来るのか分からない日本の住宅には耐震性が求められます。
そんな耐震性の基本を成すのが「耐力壁」と言われる壁です。
通常、耐力壁と言えば、、、
1)筋交によるもの(横架材及び柱間に入れる斜めの木材等)
2)面材張りによるもの(構造用合板その他)
のどちらかのことを指します。

更に、(財)日本住宅・木材技術センター出版の解説書によると、、、
1)筋交:耐力壁の幅、最小値90cm 以上かつ階高/幅は3.5 以下
2)面材:単独耐力壁として60cm 以上かつ(高さ/幅≦5)が有効
3)おおむね2m以下に柱を設ける
と基本となる大きさなどが記されています。
また、建築基準法(以下、建基法)では建物に必要な耐力壁の数を「壁長」として長さで表しますが、耐力壁の仕様によって壁倍率なるものが決まっています。

これらは「耐力壁」の基本的な考え方ですが、実はこれ以上の決まりもありません。したがって、この決まり以外のことは実際に設計される方の(良くも悪くも)さじ加減で決まっているという実情がありますが、これらは下記するような問題をはらんでいます。

建基法に記された筋交の壁倍率は「高さ2730mm・柱間隔910mm」の筋交を強度試験した結果で定めています。しかし、実際は「高さ3000mm・柱間隔1820mm」の筋交が施工されることもあります。要するに、試験の形状と違う方法で施工が行われています。一見問題のように思われますが、角度や高さ、柱間隔に関する規定は建基法には記されていない為、法律違反ではありません。

筋交は、角度が急に(若しくは緩く)なると、負担する軸力が大きくなります。また、材が長くなるので圧縮方向に対しては更に負担が増します。
以前とある雑誌に「厚さ45mmの筋交を柱間隔910mm・1365mm・1820mm、いずれも高さ2730mmとした3種類の試験体」を強度試験した結果が掲載されていましたが、1365mmと1820mmはそれほど差がないようですが、そのどちらも910mmの約7割の強度しかないそうです。
『試験体は910mmのように筋交がねばらず、端部金物のビスが抜けたり筋交が座屈したりし、厚さ45mmの片筋交の基準強度も下回った。』とのこと。

これらのことは、前記したように建基法上は問題ありません。
しかし、先の解説書の質疑回答欄に「設計の簡素化、技術的合理性、法令上の妥当性を総合的に勘案して『筋かい耐力壁では長さ比例則が適用できる』としていますが、設計者の判断で安全側に設計することは望ましいと考えます。」とある通り、設計者は法律を遵守しつつ更に良い建物にすべく、ある意味、哲学をもって設計に臨まなくては行けない、ということではないでしょうか。

我々設計者に委ねられている責任は大きく重い、ということを改めて感じさせられます。

column001 家づくりの始まり

皆さんが家を造ろう(以下、買うを含む)と思う理由って一体何でしょうか。
家族が出来た、賃貸は家賃が勿体ない、親と一緒に暮らすことになった、など理由は様々かと思いますが、家を造ろうと思う理由に正解なんてありませんから、各々が必要性を感じた時に行動すれば良いとは思います。

しかし、いざ行動に移す段階で「どうしたらよいか分からない。」というのが多くの方が思うことではないでしょうか。そして、その方々が行うことの1つが「住宅展示場」若しくは「建売住宅」を見に行くことかと思います。
まずは現物を観てみよう、ということでしょうか。

確かに、現物を観ることで何かのインスピレーションを得て、家造りのことをより考え出す、となれば意味のあることですが「何社かの展示場の営業マンの話しを聞いて、何となく良さそうなところで造った。」みたいな話しを聞くと、何か大事なものをなくしていると感じてしまいます。

そんな私が思う、家を造ろうと思った方(以下、建て主)がまず行うべきことの1つに「どんな家が欲しいのか、考え・勉強すること」というものがあります。
「やっているよ」と思われる方も多くいらっしゃるような当たり前のことかもしれませんが、業界内にいる私には建て主が行っているそれらが物足りなく感じます。
今の時代、わざわざ住宅展示場に行かなくても、家造りに対する知識はインターネットで幾らでも得ることが出来ます。住宅に関わる雑誌も多く出ていますので、それらを見ることでも知識は得られます。正直、建築業界は分かり難いことが多く吟味が大変ですが、それでもいろいろ勉強してみると家の違いが少し分かってきます。
すると、自分の欲しい家を造ってくれそうな良い設計事務所や工務店があることを知ったり、住宅展示場へもお目当てのハウスメーカーを選んでから足を運ぶことが出来ると思います。

家造りというものは、自分が欲しい家を造ってくれる会社(人)を探すことから始まります。ここで重要なのは「欲しい家」です。やはり、家というのは何となく造っていいものではないと私は思っています。欲しい家に対するキーワードはあればあるほどいいと思います。そうすると、自分が探すべき会社も探しやすくなります。
こうして家造りの良きパートナーを探すわけですが、この会社を探すプロセスに近道はありませんし、近道をすると失敗(納得する家が造れない)も多くなると私は思っています。

私としては、本来のあり方である設計事務所をパートナーに選んで欲しいと思いますが、どこへ頼むにしても重要なのはその会社の方とフィーリングが合うか、と言うことです。こればかりは、多くの会社に足を運び会って話しを聞くしか判断方法がないと思いますが、きっと殆どの方が人生で一番高い買い物だと思いますので、その努力は惜しまないで欲しいです。
きっと、あなたに合う設計事務所や工務店、ハウスメーカーがあるはずですので、根気よく探して頂けると良いと思います。

造ってよかったと思える「自分の欲しい家」を建てましょう。

column000 開設

この度、住宅建築の各要素やその他について、自身で調べたことや経験したことをまとめる意味合いもふまえたコラムを書かせて頂くことに致しました。また、私見を交えることで、私が何に悩み何を思い設計と向き合っているのか、などを感じて頂けると良いかと思っております。

つたない文章もあるかと思いますが、ご拝読頂けると幸いです。

 

MA住空間設計室
代表 丸山晃寿